9月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

【9月の日経平均株価】

『以下は、9月4日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値19,691円から19,274円へ』

8月は夏枯れ相場になるかもしれないと危惧されていましたが、大きな混乱は見られませんでした。北朝鮮のミサイル発射により一時弱含みましたが(直近安値19,428円)、開戦がないと判断されると、直後に値を戻しました。先週のメルマガで、戻りの目安をEPS14倍と記しましたが、木曜日の日経平均EPS(1,410円)で計算すると19,740円になります。金曜日の高値は19,735円とほぼぴったりの位置まで戻したところで、上昇が止まったわけです。一連の過程ではっきりしたのは、安倍政権が現行の経済政策を継続し、内外に不安がなければ、日経平均はPER14倍ラインより上にあり、突発的に発生する危機の大きさによって、PER14倍ラインを下回る度合いが決まるというコンセンサスが形成されつつあることです。

株価の戻りを見ていると事なきを得た感がありますが、9月5日から始まる米議会での予算や減税をめぐる攻防を控えていますので、これで楽観というわけにはいかなさそうです。
共和党は法人税率を35%から20%台前半に引き下げる方向で調整していますが、トランプ政権の足元はおぼつかないままですから、一筋縄ではいかないはずです。トランプ氏が公約していたオバマケアの改案は議会通過ならず、レパトリ減税も目立った進展がない中で、残る減税に期待して上昇を続けてきたトランプ相場ですから、決して盤石ではありません。また、減税案を詳しく見みれば、法人税率を引き下げる反面、課税対象は拡大されるということですから、実体経済に期待を上回る効果があるかどうかも疑問です。

国内では、財務省が9月1日に2016年度の法人企業統計を公表しました。企業が得た利益から株主への配当などを差し引いた利益剰余金(金融業、保険業を除く)は、前年度よりも約28兆円多い406兆2348億円と、過去最高を更新したとのことです。第二次安倍政権が発足してから、実に124兆円積みあがったことになります。経常利益も前年比9.9%増の74兆9872億円となり、比較可能な1960年度以降で最大となりました。
政府は、内部留保を積むのではなく、設備投資や社員の賃金アップなどに使うように要求していますが、企業側は慎重姿勢を続けており、16年度の設備投資額は42兆9380億円で、前年度比0.7%増にとどまっています。個人が将来への不安を抱いて消費を抑えているのと同じく、企業も稼いだお金を使わずに蓄えている状態です。

9月7日はメジャーSQです。これだけ海外発の不安材料がありますから、通常のSQ以上に荒れるかもしれません。その2日後、9月9日は北朝鮮の建国記念日です。この日に合わせた危機が事前に煽られることになれば、7日のメジャーSQあたりに大きく下がり、場合によっては19000円も割りかねません。9日のイベント通過をもって、アメリカと北朝鮮は戦争をしないとはっきりすれば、翌週には値を戻すでしょうから、こうして下がったところを買うのは、ひとつの戦略ではあります。ただし、繰り返し記してきたように、戦争は偶発的に起こることもありますから、絶対に戦争はないと断言することはできません。
詳しくは後述しますが、北朝鮮で衝突がなくとも、この隙にロシアが不穏な動きをしていることについて、すでに欧州ではかなりの警戒がされています。もしも、7日、8日あたりに充分に下がったところで買うのであれば、こうしたことを勘案し小さく買われますように。

『以下は、9月11日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値19,274円から19,909円へ。』

9月9日は北朝鮮の建国記念日でXデーと言われていましたが、アメリカ・北朝鮮ともに特段目立った動きはありませんでした。北朝鮮は9日にICBMを撃つと言い、西岸までミサイルを移動させていましたので、欧州の航空会社が日本海の飛行を避けるなど、かなり緊張が高まっていました。
実際にICBMが発射され、グアム近辺まで飛ぶようなことがあれば、アメリカ軍が懲罰的な軍事行動に出て、第2次朝鮮戦争に発展する可能性がある状況でした。そして、この場合の第2次朝鮮戦争というのは、アメリカ・北朝鮮ともに核を使用する可能性、つまり史上初の核戦争となる恐れがあったわけです。当然に株式市場にも警戒感が広がり、先週の1週間で日経平均は416円下げました。
 
先週は北朝鮮問題の他にも、アメリカの利上げ観測の後退と利上げに積極的とみられていたフィッシャーFRB副議長が辞任意向を表明したことによる、米長期金利の低下とドル安。米債務上限問題への懸念とトランプ政権に対する不信、ECB理事会後の記者会見でドラギ総裁がユーロ高をけん制、ハービーに続き強力なイルマがフロリダに襲来といった、日経平均への悪材料がありました。

先週の一番の悪材料であったアメリカと北朝鮮による開戦不安が一旦後退し、米債務上限問題が12月まで凍結されたことを受け、本日の日経平均は270円高となりました。
北朝鮮問題は9日を通過して一旦は不安が後退していますが、今後1~2週間がヤマ場で、戦争か核保有を認めたうえでの交渉か、どちらに転ぶかわからない状況が当面続くと思われます。情勢がどちらに転ぶのか読めない中でのトレードは、避けることが賢明です。ただ、9月後半以後に、不安や不透明さが消えて市場に安心感が戻ってくれば、日経平均先物も、権利落ち分を吸収してPER14倍ラインを目指す可能性は残っています。

『以下は、9月18日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値19,909円から20,296円へ。』

北朝鮮情勢で米国は動かず。トランプ政権は再び国連に話を持ち込んだ上に、ロシアや中国の顔色を窺って、石油全面禁輸も公海上の臨検も諦め、実効性に疑問の残る制裁決議でお茶を濁し、事実上、北の核保有を容認しました。最大の理由は北朝鮮と交戦となった場合に、日韓両国が被る人的被害が大き過ぎること、 ロシアが欧州や中東で軍事行動に出て、火事場泥棒のような動きをすることへの懸念とみられます。

以前のアメリカであれば、欧州とアジアに加え、中東などでもう一つの戦争を戦っても、その全てで勝利できる力がありましたが、今は1つの戦争ですら躊躇するようになっているわけです。これが覇権国であるアメリカかと、同盟国としてはちょっと残念な気もします。ただ、アメリカにとっては悪い選択ではありません。過去にもイスラエルやインド、パキスタン等に、核保有を容認したことがありますし、北朝鮮が核保有をしたといっても、直接アメリカが攻撃されない限り、困るのは韓国と日本だけといえます(中国に核恫喝をやる可能性もあります)。さらに、韓国はもはや同盟国としての価値が怪しいため、放っておけばいいという空気が広がっています。
韓国が同盟網から脱落しても、その分、日本がアメリカから高価な武器を買ってくれ、北朝鮮の核に対する盾になってくれるのなら、アメリカとしてはむしろ良い展開とも言えます。トランプ大統領は、就任前から対日貿易赤字に対して矛先を向けていましたが、日本がアメリカから高価な武器をたくさん買えば、対日貿易赤字は縮小するというわけです。

無論、日本としては大変な苦難の始まりであり、前号でも記したとおり、核武装も視野に入れた軍拡の議論が、与野党問わず盛んになってきています。日本はアメリカに梯子を外された格好になっており、日本国民が被る軍事的、財政的なリスクは、今後、重く、長く、圧し掛かってきます。悲しいかな、日本にとっては嫌な着地点でも、世界経済にとっては大きな安心の材料です。結局、米国が動かないのを見て、先週初めから日経平均は急速に戻す展開となり、ひとまずはPER14倍ラインに達しました。(前号では、このまま内外の不安が後退すれば、9月末頃を目途にPER14倍ラインに戻すと記しましたが、想定よりもかなり早く戻しました。)

先週末には、さらに安心を確認できるイベントがありました。北朝鮮が日本に核恫喝した上で、15日に再び日本上空をミサイル通過させ、国連の制裁に反発・挑発をしてみせたのがそれです。それでも米国はまったく動く気配はありませんでした。またもや国連安保理を召集して非難しただけです。結局、アメリカは戦争をする気がないだけでなく、本気で核を放棄させるつもりもなさそうと、世界中の投資家が見透かしてきています。15日の朝こそ、瞬間的にリスクオフに傾いたものの、後場には株も為替も戻す展開となりました。

先週末の日経平均は、PER14倍ラインを少し超えて20,000円手前に迫ったところで引けています。北朝鮮クライシスは何も解決しておらず、9月22日の新月の夜が次のXデー候補だとか、10月10日の朝鮮労働党記念日が危ないなど、情勢が一段と緊迫しそうな日程はいくつもありますが、アメリカはもう動かないという暗黙の了解のもと、地政学リスクは急激に後退しています。まったくもって「奇妙な安定」と言えます。

先週末に日経平均が19990円に達したのは、PER14倍ラインが上がったためです。当面、相場の攪乱材料が後退したことで、安値異常値を上回るべく、ポジションの調整が行われたものと思われます。実際、先週金曜の後場の上昇というのは、日銀等による株価操縦もさることながら、ミサイル危機で売り込んでいた投機筋による、連休前の買い戻しの影響が大きかったようです。
ここからどうなるかですが、安倍総理は28日招集の臨時国会冒頭で、衆院解散の意向を固めたようですので、選挙アノマリーへの期待が高まるはずです。その他に、日米金利差拡大の期待による円安が今週辺りに確認できれば、日経平均はまた2万円超で推移することになりそうです。

上に記したとおり、PER14倍ラインが20,000円に近接しています。このまま環境が波静かで穏やかであり続け、「奇妙な安定」が継続するようであれば、今週あたりから20,000円の攻防を経て、円安の進行とともに徐々に上昇するのではないかとみています。
PER14倍ラインあたりかそれ以下のゾーン(先週の引け後に総理が解散の意向を表明したため、日経平均先物も現物も引け値を上回る値で寄り付く可能性は高いです)で買いエントリーし、数百円の値幅を得るのが常道だと考えます。

今、「奇妙な安定」の中にあるといえど、10月にかけての不安材料は北朝鮮の他にもまだあります。ロシアによる火事場泥棒的な動きも注意を要するところがありますし、中東の争乱も警戒される局面でもあり、地政学リスクは今しばらく要注意です。また、世界的な金融政策の変更は円安をもたらすばかりとは限らず、思わぬところで波乱を引き起こさないかといったことも、注意しておく必要があります。この9月にはアメリカが、10月には欧州が、資産縮小を開始するとみられていますし、アメリカの追加利上げはいずれ行われます。
どれだけイエレン氏がハト派的に振る舞っても、実際に政策が変更されれば当然大きな影響があります。何しろ、市場を調整させたい(バブルの芽を摘みたい)からこそ、引き締めをやるわけなので、どこかのセクターに必ず調整は発生することになります。それが思わぬ形で波及しないことを確認しつつ、投資しなければなりません。
これら地政学リスクや金融政策の変更が、依然として日経平均の上値を重くしている中で、悪材料としてクローズアップされるようになると、それなりの調整は起こりそうです。今週あたりからの相場は、こういった好悪の両材料がどうあらわれてくるかをしっかり見ていくべきと思われます。

アメリカの金融政策の変更は政策決定に関することですから、現時点で確固とした話ではありませんし、「奇妙な安定」は金氏が合理的に振る舞うが前提ですので、トレードなさるかたは、くれぐれもリスクコントロールと資金管理を適切に行った上で、エントリーなさいますように。

『以下は、9月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,296円から20,356円へ。』

解散については、幾度となくその可能性について記してきましたが、28日に召集される臨時国会の冒頭で衆院解散、来月22日が投開票日に固まりました。政権側が考えるシナリオどおりにいけば、日経平均は21,000円近辺まで達する可能性はあると思います。一方で、安倍政権は本当に選挙で勝てるのか、地政学リスクは破裂しないかといった不安要素も、いつになく大きくなっています。
また、臨時号で少し触れましたが、明日26日は権利落ち日です。権利落ち分をすぐに埋めることができないと、一気に失速しかねないという怖さもあります。先週、20,500円で跳ね返されたのは、こういった不安要素を避けるかたちで利益確定されたものでしょう。月末までは日柄が良いですが、前号のメルマガを参考にエントリーされた方は、あまり欲をかかずに、ほどほどのところで利確するのが賢明かと思います。
選挙の行方は、今週中にもぼんやりとは見えてくると思いますが、政権の勝利に疑問符が灯ったり、海外の地政学リスクが破裂するようなことがあれば、日経平均は再びPER14倍ラインを割って大きく下げていくはずです。その意味でも、前回の買いエントリーは早めに利確して、下げが来ればその初動を売りで仕掛けるのを待つべきだと考えます。(売りエントリーの時が来るかどうかは判りませんが。)

安倍政権が選挙で勝てるとしても、海外要因で突発的な事象が起こる可能性は予断を許さない状況です。北朝鮮、中東、そして欧州における地政学リスクはさらに強く燻っており、とにもかくにも諸情勢が微妙で未来の歴史教科書に載るような重大局面にあります。
本日9月25日はイラク北部でクルド族が、独立を問う住民投票があります。もし、クルド国家が誕生するようであれば、スンニ派、シーア派、そしてトルコによって、中東の力関係が変化する可能性があります。また、10月1日にはカタルーニャ州が、スペインからの独立を問う住民投票を行います。カタルーニャ国が誕生するということは、スコットランドの独立運動に影響を与えるだけでなく、ロシアによるNATO諸国の取り込みにも繋がります。

ただでさえ、欧米の金融政策が大転換して引き締めが強化されるところですから、海外での突発的な要因を契機として、市場が大いに攪乱される恐れを常に警戒すべき局面といえます。日経平均は上昇相場に移行したように見えますが、国内外の証券会社が売りを控えなければいけない時期であるため底値を切り上げているだけで(9/21配信の臨時号参照)、需給が改善したわけではないと見ています。マザーズやジャスダックの銘柄は上げていません。日経平均という指数だけを上げるための不自然さを感じます。