8月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、8月6日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,525円から22,298円へ』

米中の貿易戦争は、まだ駆け引きの段階とも言えます。今回の25%への関税引き上げは、9月に実施される見込みとされていますが、アメリカ側はこれを交渉材料として、中国側へ対話を迫る可能性が考えられます。中国側が何らかの譲歩をしてトランプ氏に花を持たせるならば、貿易戦争は瞬時に良い方に向かうかもしれません。事実、中国側にはエスカレートを抑制したいというシグナルが発せられているようです。

中国は国家として定めた産業(ハイテク産業)を2025年までに世界一にするという計画、中国製造2025(中国版インダストリー4.0)を遂行中です。国は個々の企業に関与することなく、公平公正なフィールドを提供することが資本主義のルールです。ところが「中国製造2025」は、国家主導で国の莫大なお金を使って設備投資するというものです。つまり、資本主義のルールを国家資金が蹂躙することになるわけです。実際、この10年の間に、技術を持つアメリカやドイツの民間企業を、国家の資金でどんどん買収を進めてきました。(中国国家が直接的に資金を出しているのではなく、共産党系の国有企業を介していますが。)民間企業と国家の資金力では、どちらが勝つかは明白であり、世界の先鋭な技術が中国の国有企業のものとなっています。これでは、資本主義とは相入れないどころか、資本主義が維持できなくなります。
米中貿易戦争は、トランプ氏の中間選挙に向けたポーズではないと繰り返してきました。また、アメリカの貿易赤字が減ればそれでよしというものでもなく、その本質は、「資本主義」対「社会主義」という国家運営を巡る正面衝突なのです。

事実、アメリカは中国資本が25%以上入った企業は、アメリカ企業を買収できなくしています。アメリカが貿易戦争を仕掛けた際、中国の要人はEUに飛んで「我々が手を組んでアメリカと戦いませんか。」と持ち掛けましたが、EU側は、「アメリカのやり方は横暴だが、根底の思考はアメリカと共有できている。」と、一蹴したと云われています。根幹にあるのは貿易戦争ではなく、民主・資本主義と国家・社会主義のイデオロギー戦争ですから、西側が中国と手を組むことができないのは当然です。

中国がアメリカから輸入する大豆に関して報復関税を掛けたことで、大豆が暴落してアメリカの農業関係者からトランプ氏への不満が噴出しました。EUは大豆を大量にアメリカから輸入することを約束しています。憶測の域を出ませんが、これはつまり、イデオロギーの戦いにおいては、アメリカとEUが共闘するという手打ちができているのかもしれません。
また面白いことに、中国はアメリカから輸入する大豆に関税を掛けたわけですが、他の国からの輸入で穴埋めができないため、関税を掛けても輸入せざるを得ません。そうなれば、困るのは中国の業者であり中国人民です。そこで、中国人民から不満が出ないようにするため、関税分を国家が業者に補填しているのです。つまり、貿易戦争としては、既に勝負が付いているわけです。
 
前項で解説したのは資本主義の制度設計を越えたという話ですが、一方で社会主義のマネーが、資本主義と混濁の中で支配権を強めているといった根の深い問題が、複層的に出始めているのです。貿易戦争は、お互いが血に塗れた上で強者の貿易赤字を縮小することで終結します。このイデオロギー戦争は、国家主導で民間企業に介入するのは止めなさいということですが、そうなると社会主義に矛盾が生じることになります。この問題が、どのように決着するかは全く想像もできませんが、未来の歴史教科書に載るであろう重大局面です。

『以下は、8月20日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,270円から22,601円へ』

8月に入ってから(つまり、前回の金融政策決定会合以降)の先週末までで、日銀が株買いに動いたのは、10日と13日の2回のみでした。先月までは、前場引けでTOPIXの下落率が0.2%を超えると、ほとんどの場合買い入れを実施してきましたが、今月に入ってからは下落率が0.2%を超えても様子見という日が何度もあります。
買い入れを行った10日前場のTOPIX下落率は、0.56%、13日が1.72%で、14、15日は下落率が0.4%を超えたにもかかわらず、日銀の買い入れは見送られています。このため、市場では日銀が株買いの縮小に動いているのでは、との観測が広がってきています。

日銀は7月30、31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」「ETFについては年間6兆円の目標は維持する一方で、市場の状況に応じて買い入れ額は上下に変動しうる」としましたが、当時のメルマガで「株買いの縮小」と「債券買いのステルステーパリング」であろうと解説しました。もっとも、日銀が政策の微調整に動いてからまだ1か月も経っておらず、これまでもTOPIXが前場で値幅を伴う下げをみせても、買い入れが見送られたケースがありましたので、現時点で「買い入れ縮小」と断定するのは尚早かもしれませんが、8月に入ってから買い入れのルールを変えたのは間違いないでしょう。

『以下は、8月27日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,601円から22,865円へ』

日本の財政破綻に備える意味で、実物資産や基盤的国策銘柄に加えて、米ドルを中心とする外貨に注目してきており、1ドル105円を超える円高が発生した際にはせっせとドルを買ってきた方も多いと思います。「アメリカ抜き」の世界が加速するならば、ドル買いはやはり躊躇せざるを得ません。

無論、そうはいってもアメリカは強大であり、今世紀後半も最強の先進国として世界経済の一角を占めるのは確実ですから、米ドルや米ドル建て資産が無価値になることは、まずないだろうと考えますが、保有資産の大半をアメリカにつぎ込むのは、日本に居住する私たちとしてはリスクがあるように思います。米ドルを減らすぶん、金、豪ドル、NZドルなど、下値が固いと思われる資産の比重を増やし、「その時」に備えたほうが賢明かもしれません。

世界が「アメリカ抜き」で動き始めたことで、日本もまた「アメリカ抜き」の世界を視野に入れて動きを加速させています。オーストラリア、インド、イギリスと準・同盟を結び、NATOに正式な代表部を常駐させるなど、今や自衛隊は日米同盟の枠を越えてグローバルな軍事同盟を構築していますが、ここまではアメリカの承認があってのことです。

安倍政権がさらにそこから進めているのは、過去のメルマガで連載した「インド太平洋戦略」という旗を掲げて、軍事、政治、そして経済のネットワークを日本主導で構築しようという試みです。かつては日本がこういうことをやり始めれば、必ずアメリカから牽制が入り、アメリカを拒否権付きで参加させない限り、必ず潰されてきたという経緯があります。たとえばアジア金融危機の反省として、日本主導でアジア共通通貨を作る構想を財務(当時は大蔵)官僚らが推進しましたが、アメリカの横槍で潰されてしまいました。共通通貨を作るという構想は大幅に後退し、アメリカが拒否権を発動すれば何もできないという、ただの通貨スワップ(チェンマイ構想)として、なんとか実現にこぎつけることがでたわけです。そして、そうしたことを考えた「罰」として、律令以来の名前を剥奪され、分割されるという、大蔵省にとっては過酷な結末が待っていました。日本の政治家や官僚が米国の了承を得ずに、アジアや世界の秩序を変更するような動きを、従来のアメリカは決して許さなかったのです。

しかし、トランプ政権になって激変しています。安倍政権は比較的、自由な発想に基づいて、あたかも「アメリカ抜き」の世界を模索するように、軍事・政治・経済面で秩序変更を志向しています。軍事面では先述の「準・同盟国」だけでなく、新たに「太平洋国家」としてのフランスを自衛隊のパートナーのうち一つとして、西太平洋に招き入れようとしています。また、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、中国の膨張に悩むASEAN諸国との連携をアメリカからの承認なしでどんどん進めています。南沙諸島では事実上の交戦事態も発生しており、交戦国の一方の当事者への軍事的援助はその相手国と戦争するリスクを高めますが、安倍政権は躊躇せず上記のASEAN諸国軍に戦闘艦などを供給する交渉を続けています。
これは、かつてのアメリカならば許したかどうか。また、安倍政権はアメリカの仮想敵国であるロシア軍と自衛隊の連携も進めるつもりです。無論、北方領土返還交渉の布石でもあり、ひとまず信頼関係を醸成するためと云えますが、日ロ両軍の人的な交流を進化させつつ、情報・治安分野で連携を進めることによって中国の膨張に共同対処する準備ともいえます。かつてのアメリカなら日本の総理がこれをやれば、一発で内閣が潰されましたが、今やこんな話が大手を振って進められている現実に隔世の感があります。

また、経済的な国際秩序の変更をアメリカの了承をほとんど得ないまま、日本主導で構築する動きというのも、トランプ政権だからこそできることと云えます。TPPからアメリカが抜けた直後に、アメリカ抜きの「TPP11」を発足させるといったことは、かつてなら絶対に不可能だったはずですが、アメリカは日本主導の経済圏となったTPP11に、取り立てて注文もつけていません。安倍政権はこれをチャンスをとらえて、TPP11にイギリスや韓国、台湾などを引き寄せ、欧州との巨大経済圏(日欧EPA)を発足させ、RCEPでアジア経済をまとめ上げようとするなど、「世界最大・最強の自由貿易経済圏」の創出を目指すところです。アメリカではなく日本が主導する巨大経済圏など、かつてのアメリカなら絶対に許さなかった筈です。さらに、安倍政権はかつてのアメリカが必ず警戒した、「中国との経済連携」も猛スピードで進めており、これまた「アメリカ抜き」で進んでいるのは、従来ならあり得なかったことです。

7月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、7月2日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,304円から21,788円へ』

株式市場の取引量が落ち込んでいます。東京証券取引所第1部の1~6月売買高は、1日あたり15億株強と前年同期比で2割も減っています。これは2004年以来、14年ぶりの低い水準です。一つはアメリカが政策金利の引き上げを続けている影響だと思われます。低金利と緩やかな景気拡大が併存するための「適温」は見込みにくくなり、ドル高の影響で新興国市場には資金流出圧力も強まっています。それを受けて、日経平均のボラティリティー・インデックス(VI)指数は、警戒ラインとされる20を超える場面が度々みられるようになっています。

そのような中で6月の日経平均株価は、2017年末比2%安の22,304円で取引を終えました。22,000円で踏みとどまっているものの、それを支える売買が低調なのが気になるところです。日銀が金融緩和を拡大した2013年当時と比べると、東証1部の売買高は半分以下の水準となっており、売買量が落ち込んでいると売りが出た際に吸収するのが難しく、株価の下げ幅が大きくなることは念頭に置いておくべきでしょう。

『以下は、7月9日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,788円から22,597円へ』

先週2日(月)は、寄り付き前に日銀短観(景況感2四半期連続悪化)の発表があったものの、前場は一時プラスに転じる場面がありました。先々週に続き22,000円ラインが死守されるかと思いきや、前場引けの直後にメキシコ大統領選で強硬派のオブラドール氏の当確が報じられると、先物の売り仕掛けが入りました。前場は下げておらず日銀の買い出動もなかったため、売りの仕掛けが見事に嵌まった格好です。

貿易戦争は米中だけでなく、欧州、北米、日本という同盟国も巻き込んでいます。また、トランプ政権の標的はさらに広がり、イランやロシアへの経済制裁も進められています。 ただでさえ脆弱な欧州や新興国の中には、アメリカの利上げによる通貨・債権等への不安もあり、経済危機の誘発が警戒されています。

貿易戦争は米中のどちらかが態度を変え、明確に融和ムードが出てくるまでは、まだ何があるかわからない状況ですから、日経平均が国内から上昇圧力を得るとしても、この夏にかけて、もう一波乱二波乱があり一時的に上記の安値異常値下限を割り、20,000円を目指す下振れがあり得ることを念頭に置いて戦略を立てるべきと思います。

『以下は、7月16日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,597円から22,697円へ』

「2019年は日本経済が粉砕される年になる(ブルームバーグ)」
「何十年も続いた日本の成長軌道が終点を迎えた(CNN)」
海外のメディアが日本経済のシュリンク(縮小)を伝え始めています。今、世界が日本に注目しているのは、世界に先駆けて日本の少子高齢化という時限爆弾が爆発した時、日本がどう対処するか興味津々というところです。

IMF(国際通貨基金)は、安倍政権が2019年10月に消費税を引き上げたとき、日本の経済成長は一気に鈍化するだろうと見ています。もともとIMFは、民主党の菅政権のときにも、消費税を引き上げるべきだ、と迫っていました。この時点で、IMFは「最低でも15%に消費税を引き上げないと日本は財政破綻する」としていました。15%の消費税で財政が健全化されるわけではなく、財政破綻を回避できるということです。
消費税3%が初めて導入されたとき、それに伴う国民の税負担増は約3.3兆円でした。 消費税が5%から8%に引き上げられたとき、国民の肩には、新たに9兆円の税負担がのしかかり、一気に景気後退を引き起こしました。消費税が3%増加したことによる国民負担の内訳は、消費増税3%分とそれに伴う特別減税の打ち切りによる負担増が7兆円。医療費の本人負担増が2兆円でした。
安倍首相は、過去二度にわたって10%の消費増税の実施を延期しています。2019年10月に本当に増税を実施するというのであれば、日銀は「2%のインフレ達成」か「インフレ目標達成間近」という誤報を国民に投げかけて、力尽くで納得させるしかないでしょう。そして、「2%のインフレ目標を達成した」と日銀が宣言すると同時に、マーケットは異次元緩和を段階的に縮小し始めることを日銀が示唆したと受け取ります。
既に政府の新規国債の引き受け手は不在です。日銀は、財政ファインナンスに踏み切る以外にないのです。(日銀の国債買いは事実上の財政ファイナンスできると解説してきましたが、日銀は「市場を介した買い入れ故、財政ファイナンスではない」との主張を変えません。)
そこで、いよいよ現実味を帯びてきているのが、ヘリコプターマネーです。財政を顧みず、GDPを水増し、あたかもそれが事実のように見せ、その成長率をベースに拡張財政を打ってきました。海外メディアが、2019年は日本に災厄が訪れる年になりそうとする根拠は、ヘリコプターマネーや財政ファイナンスによる国民が望まないインフレを示唆するものです。

『以下は、7月23日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,697円から22,712円へ』

秋の臨時国会で補正予算がどの程度つくか、また来年度以降の予算総額はどこまで膨らむか、期待が集まりつつあります。
というのも、6月に土木学会が発表した試算で、巨大地震や巨大洪水などの被害総額が従来想定を大幅に上回ることが示されたからです。実際、土木学会がその衝撃的なデータを示した直後に、その内容を証明するように大阪で直下型地震が起き、さらに西日本を中心に豪雨災害が発生したため、それら防災対策が待ったなしであることが、政府に対して突き付けられた形となっています。

土木学会による試算では、直接的な資産被害だけでも、南海トラフ地震で170兆円、首都直下地震で47兆円にのぼると見られます。そして、その影響は日本全土に及ぶため、その後20年間に累計される経済被害は、南海トラフ地震で1240兆円、首都直下地震で731兆円とされています。なんと税収の40年分くらいに匹敵する2,000兆円もの経済被害が、7割以上の確率で私達の世代を襲うことになります。現時点で日本の国富(正味資産)の総額は、おおよそ3,500兆円ほどと見積もられていますが、その大半は土地値で嵩上げされた分です。南海トラフ地震や首都直下地震は、戦後70年以上にわたって蓄積した富の大半が丸ごとむしり取られることを意味します。
かつて国土強靭化に猛反対した野党も、災害による人命、国富の喪失を前提にすれば、予算案に反対することが難しくなります。ただし、莫大な予算を単年度で手当てすることは不可能です。一方、災害は明日起きても不思議ではなく、できることであれば一気にやりたいところでしょうが、そうすれば即座に財政が破綻してしまい、全ての事業が実現不可能となります。
土木学会は「15年程度で完了」という目途で、全ての事業プログラムを提示していますが、仮に60兆円を15年かけてやるのであれば、毎年4兆円の出費で賄えることになります。安倍政権は2014年の国土強靭化基本計画以降、毎年3~4兆円を防災に関する公的支出として予算化してきたわけですが、これを倍増させることができれば土木学会の「予算要求」は満たせることになります。

『以下は、7月30日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,712円から22,525円へ』

実体経済を他所に日銀が年間6兆円もの株買いで、株価(とくに日経平均)を嵩上げしてきました。中でもファーストリテイリングの日経平均への影響や浮動株の減少については、直近のメルマガでも繰り返し指摘してきました。現時点でファーストリテイリングの浮動株は2,000万株程度まで減少しており、今のペースで日銀が買い入れを続けると来年前半には浮動株が無くなる計算です。

日銀の買い入れ手法の柔軟化には、理論上2つの可能性があります。1つは、買い入れに占める日経平均連動のETFの割合の引き下げること(段階的にゼロへ)。もう1つの可能性は、ETFの買い入れを最大で年間約6兆円にすることです。単純に買い入れ額を減額するよりも、市場へのマイナスインパクトを小さくできるでしょう。
 
もっとも、9月の総裁選を控えて、市場に波乱を起こすようなことはできませんから、株買いの出口に関する明示的な表現はできないと思います。今日、明日の金融政策決定会合でどのような答えを出すか、全ての市場関係者が注目していますが、できたとしても「ステルス株買い縮小」か「ステルス配分比率変更」ではないかと考えます。

6月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、6月4日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,171円から22,694円へ』

イタリア政局の混迷から「イタリアのEU離脱」そして「EU崩壊」の懸念が世界の市場を襲いました。
首相に指名されたコンテ氏の「反EU・反ユーロ」人事をマッタレッラ大統領が拒否し、これを争点とする再選挙が8月以降に開催される見通しとなったということで、世界の市場が動揺したのです。
再選挙が実施されれば、コンテ氏を支持するポピュリスト政党「五つ星」と、極右とされる「レーガ(同盟)」がさらに躍進し、最終的にEUとユーロからイタリアが離脱する可能性が出てきます。
仮にイタリアがEUを離脱することになれば、その衝撃はイギリスのEU離脱よりも大きいといわれています。イギリスの方が経済規模は大きいですが、イタリアはEU圏内で3番目の経済大国ですし、後から日和見的にEUに参加したイギリスと違い、イタリアはEUを作った国の一つでもあります。また、ユーロを採用しなかったイギリスと違い、イタリアはユーロ圏で初の主要国の離脱となります。

その場合、どのようにしてユーロの信認を維持するか、EUもECBも妙策はないでしょうし、私たち市場参加者も未知の対応を迫られます。
この騒動で先週水曜日の日経平均は一時400円超の下げとなり、22,000円ラインを割る場面もありました。
もっとも、世界の市場を震撼させてしまったことで、イタリア政界はやや冷静になっているようです。EU離脱とユーロ崩壊で最も打撃を受けるのは、債務危機を招いて破綻することが確実なイタリアですから、その後マッタレッラ大統領 とコンテ氏が合意して、穏健なコンテ内閣が発足することとなり、イタリア発のグローバル・リスクは一段落しました。現在、イタリア不安の後退でアメリカ株式市場も回復基調に入り、日経平均も22,000円を維持しています。ただし、南欧不安が完全に去ったわけではなく、コンテ政権はEUに懐疑的な政権であり、今後もEUに遠心力をもたらす可能性があります。

『以下は、6月11日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,694円から22,851円へ』

構成銘柄の点で、日経平均はダウ平均よりもナスダックに連動しやすいとお伝えしました。
そのナスダックは3月に付けた高値を抜きましたが、ダウは高値に届いていません。これはアメリカが仕掛ける貿易戦争の影響が小さいハイテク株や半導体株、すなわちナスダックの銘柄に資金が流れているだけと思われます。絶えずポジションを持たなければいけないファンドや機関投資家によって買われたものでしょう。

一方、日経平均は23,000円近くまで上昇しています。この23,000円を越えることができるかどうかが、目先の焦点となりそうです。ただし、この上昇はナスダックのようにハイテク株や半導体株が買われているわけではありません。先週金曜日はメジャーSQでした。先物が価格の取り合いをしているだけで、先週の上げは大勢に影響がないとみています。
先物の値決めによる上げは総じて信用できず、SQ後には反落して幻に終わることが多いものです。実際、大きな材料もなく、日経平均現物は殆ど商いがない閑散相場が続いていますから、23,000円を越えられずに下げる可能性が高いとみています。

『以下は、6月18日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,851円から22,516円へ』

6月4日配信のメルマガで、日経平均への影響度が高いファーストリテイリングの浮動株が減少しており、同じ額の買いを続ければ、今後上昇率は高くなることを解説しました。  
ここで、個人投資家に人気の銘柄(信用買い残が多い)上位7社を確認しておきます。

このように、個人投資家は厳しい状況が続いています。既に追加証拠金を迫られている個人投資家も多いと思われますが、もう一段の下げがあれば投げ売りが出て来るでしょう。
なお、ソフトバンク以下は、日経平均の構成銘柄です。日経平均という指数は底堅さを維持していますが、個別の銘柄を見るとこのような状態です。もはや日経平均は、ファーストリテイリング、ファナック、ソフトバンクの3社で、騰落の大半が説明できます。
これまで外国人投資家は、日経平均先物を使って上へ下へと仕掛けていましたが、今後は日経平均への影響が大きいこれらの銘柄を使って、日経平均を動かしてくる可能性も考えられます。

『以下は、6月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,516円から22,304円へ』

そのNYダウが続落する中でナスダックが最高値を更新しており、主要指数が逆の動きを示すダイバージェンスとなっていること、日経平均という指数だけが上昇していることを解説してきました。
日本市場においても、日経平均が上昇してもTOPIXは下落するという動きが目立ってきています。20日のTOPIXは、5月30日の2番底である直近安値、マザーズは4月17日につけた年初来安値をそれぞれ更新しており、まさに日経平均だけが底堅く推移している状況です。

先週19日、20日の日経平均を例に説明します。

19日は大阪地震の影響もあり、久しぶりに大きく下落しました。19日朝8時40分頃の日経平均先物は、引け値近辺に注文が出ていましたが、寄付きの8時45分が近づくにつれて指値が下がり、大きなギャップダウンで寄付きました。
翌20日の前場は、日経平均が9円の上げに対し、TOPIXは9円下げています。先週のメルマガで解説したとおり、日銀は再びTOPIXが0.1%下げると買い入れするようになっていますので、TOPIXの前場の下げを見て、午後に買い出動しました。(今月は1回あたりの買い入れ額が703億円です。)
 
結局、その日の終値は、日経平均が前日比277円上げ、TOPIXが9円の上げで引けています。日経平均に大きな影響があるファーストリテイリングは、前日比1,740円で引けています。
つまり、日経平均の上昇277円のうち、ファーストリテイリングだけで64円という計算になります。(日経平均の計算は、構成銘柄225社の株価を27で除したもの。ファーストリテイリングが1,740円上げた場合の日経平均への影響は1740÷27=64となります。TOPIXは時価総額で加重平均していますので、ファーストリテイリングは殆ど影響がありません。)
そして、そのファーストリテイリングの浮動株は枯れてきていますから、今後、日銀が同額の買い入れを続ければ、感応度は高くなり続けます。日銀が株買いを続ける意味、市場原理を機能不能にさせていることについて、繰り返し指摘してきましたが、憲法改正に向けて株高を演出するためには、むしろ好都合というわけです。

この日のNT倍率は、18.6倍まで上昇しています。(NT倍率とは、TOPIXを分母、日経平均を分子にして計算した倍率。)日本の株価指数も、ダイバージェンスの状態です。日経平均もTOPIXも日銀によって買い上げられていることに違いありませんが、その影響度を鑑みれば、どこかの時点で日経平均が下げることを想定しておく方が良いかもしれません。

5月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、5月7日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,472円から22,758円へ』

GWの直前、アジア通貨の為替が一斉に下落しました。1997年から数年にわたって続いたアジア通貨危機の際も、このような兆候が幾度となく確認されていました。ドル高=ドルの金利上昇によってドルがアメリカへと戻り、多額のドル建て債務を抱えるアジアの国々が支払いに窮したことは記憶に新しい話です。最近のアジア通貨の為替レートは、そのアジア通貨危機の頃に似てきています。

貿易赤字と財政赤字の双子の赤字を抱えるアメリカは、資本収支が黒字であるからこそ維持できていることは以前に解説しました。アメリカの要人がドル安を望む発言をして、その後に強いドルはアメリカの国益と言い直すケースはしばしば起きているのはその為です。基軸通貨であるアメリカのドルは世界中に流通していますが、これは影響力が大きいことの裏返しでもあります。ドルは世界各地で広く使われているので、それだけドルの信任は重要なわけです。

そのドルの影響力はとくに新興国で強いわけですが、アジア通貨危機のようなケースは、ドルが強すぎた場合に起こります。これまで金融緩和で湯水の如く供給されていたドルが、アメリカの景気回復でドルの金利が上昇し、一斉にアメリカ本国へと還流すると、アジア各国の通貨は暴落します。日本の株価は円安を好みますが、アジア各国の場合は、通貨安になると自国通貨を防衛するために大幅な利上げを迫られます。大幅に利上げしないと、通貨安・暴落が止まらないためです。
そして、アジア通貨危機のようなことが起きれば、結果的にアメリカの株価にも影響します。つまり、アメリカの景気サイクルがピークを通過した頃に、起きやすいということです。

『以下は、5月14日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,758円から22,930円へ』

先週のEPSは40円ほど目減りしたことをお伝えしました。PER14倍に近づきつつある日経平均ですが、景気後退期はEPSの目減りにともなって、適正なPER水準に収斂されていくものです。つまり、PERは適正な水準に到達したが、EPSが減少していたため株価は下がっていた。PERは上昇したけれど、あの時が景気のピークだったのだと後になって判るということです。

先週から、決算発表がピークを迎えており、多くの投資家は寝不足が続いていることと思います。2018年3月期(日本では第4Q、アメリカでは第1Q)の業績が良いことは、既に株価に織り込まれていました。先日、アメリカのキャタピラー(建機の企業)のCEOが、「今年はこの第1Qが最高で、これ以上は無い」と発言したことがきっかけで、世界経済がピークを迎えたとの観測が出てきました。増収増益は株価を押し上げるわけですが、肝心なのはその率です。増収率・増益率がプラスで続いていても、その率に陰りが見えると株価は下がるものです。
実際、日本企業の決算も2018年3月期は通期でみて好調でしたが、第4Qは失速している企業が多く見られます。

もう一つ気になることがあります。
投機筋のポジションは、「原油買い」「米国債売り」「ドルロング(買い)」で膨らんでいます。イランの核合意やイスラエルへの大使館移転によって、原油価格が上昇すると見込んだポジションと考えられます。すなわち、「原油高」→「インフレ」→「金利上昇(債券下落)」→ドル高というシナリオです。(先週のメルマガで、ドル高によってインドネシアをはじめ、アジア諸国や南米が返済に窮していると記しましたが、その原因として挙げられるのは、トランプ氏に因る中東の揺さぶりです。)

この投機筋の建玉が、一杯いっぱいまで膨らんでいます。このように投機筋が全力でポジションを組んだ時は、短期的にその方向へ動いた後、大きく逆方向へ振られることが多いものです。

『以下は、5月21日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,930円から22,450円へ』

日銀による年間6兆円もの株買いは、株式市場に大きなインパクトがあることは言うまでもありません。実際、昨年前半までは、先物を使った外国人の売り崩しが何度か見られましたが、日銀が売りを吸収する形で株価は踏み上げてきました。

日銀は「株式市場に影響がない」と断言していますが、売られることがなく買い一方の巨額の資金が、株式市場に影響しない筈がありません。金融政策によって、物価の安定を図ることが日銀の役割ですから、本来であれば日銀が株を買うことで、物価が緩やかに上昇するというロジックを説明する必要があります。株の買い支えと物価の関係については、説明されたことがありませんが、日銀が断言するとおり本当に株式市場に影響がないとすれば、なぜここまで強引に買い進める必要があるのかも説明できないはずです。まさに論理矛盾と言えるでしょう。

日経平均に最も影響が大きいファーストリテイリング(ユニクロ)株で、日銀に因る買いの影響を検証してみます。柳井一族などの保有分を除いた浮動株のうち、日銀が1年間で買った割合は9.7%に及びます。さらに日銀の保有比率は浮動株全体の69.6%にも達しています。浮動株は残り約3割ですから、仮にこのまま日銀が買い続けたとすれば、3年で浮動株は消えることになります。浮動株が少なくなると、少しの売り買いで大きく株価が動くことになりますから、市場に影響がない訳がありません。

また、日銀の株買い(アベノミクス発動以降)によって、ファーストリテイリング株は15,000円〜20,000円程度下駄を履いているはずです。仮に20,000円分が日銀の買いに因る上昇とすれば、日経平均はファーストリテイリングだけで1,000円ほど下駄を履いていることになります。

これまでは、前場で0.1%以上下げれば、午後に700数十億円もの買いを機械的に入れていたわけですが、最近は前場で0.2%下げても0.3%下げても買われることはありません。今月は0.4%以上、下げた時に買っています。これが今後の買い入れルールであるかどうかは不明ですが、0.1%下げれば買っていたものを0.4%以上の下げで買うようになっただけでも、大きなテーパリングと云えます。

今後、2月、3月のような大暴落があった場合、テーパリングしている分を含めて全力で買いに行くのか。ファーストリテイリングに見るように、これ以上買うと拙いということで、テーパリングの中で株価の下落を受け止めて行くのか、非常に興味深いところです。

『以下は、5月28日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,450円から22,171円へ』

先週、愛媛県が新しい文書を国会に提出したことで、与党優勢に傾きつつあった与野党間の駆け引きが、野党側にかなり有利なものとなりました。これをもって日経平均の上昇が止まったとおり、愛媛県の新文書は重大な意味を持ちます。これまで総理や官邸が否定してきた総理の関与が、明確かつ具体的に記されているからです。

また、財務省が国会に対して提出したのは、森友事件で改ざんされた決裁文書や、「ない」とされた一連の交渉記録の原本です。内容もかなり衝撃的であり、「価格交渉はしていない」との佐川氏の答弁が完全に嘘だったこと、籠池氏が主張してきた交渉の経緯が、真実だったということが明らかになりました。
愛媛県の新文書以上に官邸が慌てたのは、「総理夫人の関与」が明確に記されていることです。やはり総理夫人の関与があったわけで、交渉の当事者であった財務省がそれを記録していたのです。今回、財務省が提出した文書にも多くの黒塗りがあり、隠そうとすれば隠すこともできたはずですが、一番の肝である「総理夫人の関与」を残して国会に提出したのは、文書の内容以上に衝撃的なことといえます。

何れも総理が自身の進退を賭けた内容ですが、どちらも過去の答弁内容と真っ向から食い違う以上、総理が説明責任を回避するのは不可能でしょう。今後の国会運営次第では会期の延長も視野に入り、複数回の予算委開催、総理夫人の証人喚問や麻生財相の引責など、政権の致命傷となる事態もあり得るところです。
こうして安倍総理が突然政権を失う恐れが再浮上したため、日経平均の上昇が止まったのは当然といえば当然です。

4月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、4月2日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,311円から21,550円へ』

世界経済はリーマン・ショック後の大不況後に拡大を続けてきました。その期間はすでに10年になろうとしています。経済が拡大すると企業の業績が上向きます。株価が長期的に企業の利益によって動くことはほとんど間違いありませんから、経済の拡大は企業利益の増大をもたらし、株価が上昇するという流れが続いた10年と言えます。10年の世界景気拡大は、歴史的に見ても最長レベルです。

しかし、この流れが停滞する可能性が高まってきています。「米中貿易戦争」です。保護貿易が世界経済を収縮させることは、前号で解説しましたとおりです。トランプ氏は、中国からの輸入関税を引き上げることを宣言しましたが、中国からのアメリカへの輸出の大半は機械類であり、最大品目が携帯電話・端末、つまりスマートフォンです。これらは中国企業がアメリカへ売り付けているわけではなく、アップルをはじめとするアメリカ企業が中国の工場で生産されたものを逆輸入しています。

スマートフォンなどの製品の関税を引き上げると、困るのはアメリカの消費者です。価格が上がり、これまで経済をけん引してきた消費は鈍るでしょう。最大の消費国である米国の需要減少は世界的にも甚大な影響があります。中国の生産も鈍化を余儀なくされるでしょう。そうなると、ここから起きることはこれまでの10年の逆回転です。消費が鈍ると在庫が増えるため生産が減少し、生産が減少すると労働者の賃金も減少します。すると消費はさらに減少し、負のスパイラルに陥る可能性があります。

景気循環としてみれば、米中貿易戦争はその引き金にすぎません。景気は自然に循環するものであり、行きすぎた株価はどこかで必ず調整が入ります。問題は、それがいつになるかということだけです。本格的な貿易戦争に突入すれば、世界経済が収縮することはまず間違いありませんが、景気循環の転換点となるかどうかを見極めていくことが重要です。


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『以下は、4月9日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,550円から21,746円へ』

政府と日銀の間で「永久国債」というアイデアが議論され始めました。
成功すれば異次元緩和からの出口を成功させ、将来の(狭義の)財政破綻の危機を救いますが、成功するかどうか実務的、理論的な検証はされていません。一方、失敗すれば日本経済がほぼ確実に奈落の底に沈むという、賭けに近いようなアイデアです。

すでに日銀の議論は次の段階に移っています。実際、日銀が今慎重に練っているのは、デフレとの戦いではなく、これから発生するインフレをいかにコントロールするかです。
日本におけるデフレ退治としては、1930年代に高橋是清蔵相が実施した「高橋財政」が有名です。「デフレ退治」とはつまり「インフレ促進政策」ですが、そのリスクを重視した高橋蔵相はこれを開始した際、3年で手仕舞いすると明言していました。

しかし、3ヶ月後の2.26事件で高橋蔵相本人が亡くなり、手仕舞いする人がいなくなってしまった上に、財政・金融政策にも軍の意向が野放図に反映されることになりました。結果としてインフレが止まらなくなり、ハイパーインフレへと繋がって政府も国民生活も全て破綻させることになりました。

すでに日本政府の借金は当時のレベルを超えており、いったん初めてしまった異次元緩和という「インフレ促進政策」が、今後独り歩きして日本を破綻に導くことが懸念されているのです。

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『以下は、4月16日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,746円から22,076円へ』

市場関係者は、シリア攻撃が1回限りであれば影響は限定的と受け止めたようです。有事の円買いは今のところ進んでいません。
一方、アメリカ財務省が13日に発表した為替報告書では、日本を引き続き監視対象国に指定しています。大きな貿易不均衡が日米間に存在することへの懸念を示した格好です。これまでと異なるのは、実質実効レートだけでなく名目レートでの円安も指摘され、為替介入も事実上封じ込められました。
このタイミングでのこうしたアメリカの厳しい姿勢は、明日、明後日の日米首脳会談で先鋭化する可能性が考えられます。

物価変動を除いた円の実質実効レートは、2017年から今年2月までの間に2.4%下落し、過去20年の平均値と比べ25%近く円安であるというのが、アメリカ財務省の言い分です。実質実効レートに関する類似の文言は前回、前々回の報告書にもあったが、今回目を引いたのは名目レートに関する記述です。
報告書では、名目レートでみた円相場が「過去10年と比較すると、2013年上期から歴史的な平均値に比べて割安である」と今回初めて指摘しています。
日銀が量的・質的金融緩和政策を導入したのが2013年の4月です。今回の為替報告書を見るかぎり、日銀の金融政策が円安誘導と嫌疑をかけられる可能性があります。(日銀は円安を意図した金融政策ではないと否定していますが、実際は円安誘導の意味もあるはずです。)今号は、今週から始まる安倍外交を中心に解説していますが、金融緩和の出口戦略にも影響する話です。

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『以下は、4月23日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,076円から22,357円へ』

日本株最大の買い手である日銀のETF買いに変化が出てきました。「午前の株価指数が0.2%超下落すると日銀が機械的に買う。」という経験則が、最近になって崩れてきているのです。
国債市場においては、日銀が国債買い入れを密かに縮小する「ステルス・テーパリング」が意識されていることを解説してきました。このところの日銀による株買いの縮小が「ステルス縮小」ではないかとの思惑が広がりはじめています。

もっとも、「午前で0.2%超下落すると、午後に買い入れする」というのは、日銀が明示したわけではなく経験則に因るものです。日銀は、「購入額基準の内容は公表しない」としています。4月は、先週金曜日までに下落率が0.2%を超えたのは3営業日ありましたが、日銀による買い入れが発動したのは1回のみです。これで12日連続して日銀による買い入れがなく、4月の購入額は約1400億円にとどまっています。
日銀は2016年7月に、ETF購入額を約6兆円/年に増額しました。月平均にすると5,000億円ですが、4月は今日を含めた残る営業日全てで700億円ずつ買わなければ、その額に届かないことになります。

金融緩和の柱である国債買い入れは「ステルス・テーパリング」が始まっており、3月末時点で日銀が保有する長期国債は、前年3月に比べて約49兆円の増加にとどまったことは、前号で解説したとおりです。これを受けて「ETF買いでも縮小が始まったのではないか」といった観測が市場に広がっているわけです。もっとも、いくら日銀が「密かに」縮小をしようとしても、国債のように「ステルス縮小」というわけにはいきません。というのも、日銀の金融政策目標は、イールドカーブコントロールですから、金利さえコントロールできれば国債購入が少なくなっても、緩和縮小ではないと説明ができます。一方、ETFについては、年間約6兆円の買い入れ目標を明示していますので、簡単に縮小することができない事情があります。

実際、ETFの購入額を減らすには、2%の物価上昇目標を達成するか、物価上昇目標の引き下げのどちらかが必要になる筈です。だとすれば、4月の購入額が少なくなった分、今後どこかで大量の買いが発動する可能性もあります。

中央銀行による株買いはこれまで前例がありませんし、株買いが物価上昇とどう関係するのかも説明がなされていません。
これまでの累計買い入れ額は19兆円を越え、日本株全体の4%程度まで膨らんでいます。多くの企業において、日銀が筆頭株主になっているだけでなく、買いばかりで市場に放出する株はないため、流動性を下げていることが予てから問題視されていました。流動性が小さくなると、小さな資金でも株価が乱高下することになるためです。
日銀は今や日本株の最大の買い手です。このまま買い続けることが出来ないことは、誰の目から見ても明白ですが、巨大な投資家の買いがいつ縮小されるのか関心が集まっているところです。

 2月21日、元日銀審議委員で慶應義塾大教授の白井さゆり氏は、ロイターのインタビューに応じ、黒田東彦総裁の続投を軸とした日銀の新体制においても、安倍晋三政権の下では金融政策の正常化に踏み出すことは困難と語った。都内の日銀本店近くで2014年1月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

後悔しない住まい探し

住まいの購入を思い立つと、まず、不動産会社や住宅展示場などに足を運ぶのが一般的です。その際、選ぶ基準を明確にしていないと、物件やモデルハウスを見ても正しい比較検討ができなくなります。

人それぞれの価値観で、立地、環境、間取り、外観など、何を優先するかが変わってきますが、最終決定において必ず検討するのが価格です。所得に応じて、『住まいに使うことのできる上限額』が決まるわけですから、当然といえるでしょう。

『住まいに使うことのできる上限額』とは、月々の収入が〇〇万円なので、ローンの返済は△△万円以内というものではありません。住まいは生涯必要なものですから、住まいに使うことのできる額も生涯で計算する必要があります。

登記費用や仲介手数料、ローン手数料などの諸費用は当然のこと、購入後の不動産取得税や固定資産税。
戸建であれば、約10年ごとに100万円単位のメンテナンス費用や、修繕費用、リフォーム費用など。
マンションであれば、管理費や修繕積立金などが掛かります。(将来的に上昇することも見込む必要あり。)

所有するということは、思った以上にお金が掛かるものです。

このような費用を見込んでいないシュミレーションを目にすることが多いのですが、それではご家庭の資金力を越えた物件に手を出してしまうことになりかねません。
不動産会社やハウスメーカーの紹介で作成されたシミュレーションが、信用できるものかどうかのチェックとして、これらの費用が見積もられているかどうか確認すると良いでしょう。
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先日は、FPの方を対象に、住宅取得相談の講義をしてきました。

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そして、もっとも大きな支出となるのは、大規模修繕費や建て替え費用です。
周囲を見渡せば判りますが、多くの戸建住宅が30年から40年程度で建て替えをしています。(今後は、マンションも建て替えが大きな問題になるでしょう。)
一方で、私が幼少の頃からずっと残っている家も少なからずあります。

『住まいに使うことのできる上限額』は、大規模修繕費や建て替え費用も含めて考える必要があります。逆に言うと、大規模修繕や建て替えの必要のない住まいが、結果的に総額を安く抑えることができるというわけです。

多くの方が、30歳を過ぎたあたりから住まいの購入を検討し始めます。
人生90年と云われる時代に、30年、40年しか持たない家を購入(建築)したとすると、確実に建て替えが必要となります。

定年退職が近づき、ようやく住宅ローンが完済できたと思ったら、建て替えをしなければいけなくなった。こうなると、老後資金としてあてにしていたお金を、建て替え費用で使うことになります。
これから年金生活に入ろうとする時に、数千万円の支出は老後の生活設計を狂わせますので、住まい選びで最も肝心なのは、将来大きな支出がないことです。

保険は掛け捨てであるべき理由

生命保険は「もしもの時の備え」です。
「もしもの時の保障を得る」ことを目的に、生命保険に加入するのが本来の姿です。つまり、家庭の中では背負い切れない「リスク」に、保険を掛けておくことで「もしもの時も安心」となるわけです。

一家の大黒柱であるご主人が、亡くなったり働けなくなった場合に、遺された家族が生活に困窮するのであれば、それが家庭の中で背負いきれない「リスク」です。そのような「リスク」を放置しておくのは危険ですから、生命保険に加入しておこう、ということになります。

例えば、掛け金(保険料)が年間3万円の生命保険に加入して、亡くなったり働けなくなった場合に3,000万円の保険金が支払われる生命保険があったとします。
1年後に亡くなったり働けなくなったとすると、3万円の掛け金で1,000倍の3,000万円を受け取ります。
5年後に亡くなったり働けなくなったとすると、15万円の掛け金の200倍の保険金を受け取ります。
10年後に亡くなったり働けなくなった場合は、30万円の掛け金の100倍の保険金を受け取ることになります。

このように、少ない掛け金で、数百倍、数千倍の保障を得ることが出来るのが生命保険です。
支払った掛け金が、「もしもの時に」数百倍、数千倍になって受け取れるからこそ、家庭で背負いきれないリスクを回避できたことになります。
生命保険に加入する目的を考えれば、この倍率が高ければ高いほど効率が良いということになります。一般的に、掛け捨てと云われる保険の方が、保険本来のリスクを回避するという点では効率が良いということです。
※入院保険なども含めて、この倍率が低い保険は見直しを検討しても良いと思います。

しかし、このような保険は掛け金が安いため、保険会社やセールスする側にとって面白くありません。保険会社やセールスする側にとっては、年間3万円の契約よりも年間30万円の契約の方が有り難いものです。

そこで、年間30万円の契約を獲得するために、掛け捨てではなく貯蓄性のある保険を薦めるケースがよく見られます。酷い場合は、保障が必要ではなく貯蓄や資産形成が目的であっても、保険が提案されていることもあります。
また、掛け捨ての保険で、年間30万円も支払うのは躊躇される方が多いですが、お金が貯まると云われれば納得する人が多いようです。
今、保険で貯蓄をするということは、世の中の金利が上がっても低金利で積立てを続ける、と宣言しているのと同じなのです。

先日は広島に出向いて、ある保険会社で『貯蓄目的の保険提案は、顧客のためにならない』ということを話してきました。

貯蓄性のある保険は、保障としての掛け捨て部分と貯蓄としての積立部分に分けることが出来ます。
貯蓄性の保険と掛け捨ての保険を並べて比較してみて下さい。
保険は掛け捨てにして、安くなった分の掛け金を積立(できれば積立投資)した方が、よほど効率的であることが判ります。

貯蓄を目的とした保険、すなわち何年後にいくらお金が返ってくるという説明を受けたものは、
「本当に保険である必要があるのか?」比較してみると良いでしょう。

3月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、3月5日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,181円から21,469円へ』

内外の情勢が重大局面を迎えました。パウエル議長の議会証言では金融政策の引き締め姿勢が明示され、市場はタカ派のパウエルとして受け取り、利上げ速度の加速が示唆された形となりました。3月のFOMCで早速の追加利上げが行われることは、現段階ではほぼ確実といえる状況です。

このパウエル氏の議会証言の時点では、安倍政権は資本市場改革と労働市場改革を一挙にやり切る(やり切れる)つもりでした。資本市場改革とは、日本企業の統治形態を投資家に有利な形で作り替えるもので、投資家(とくに外国人投資家)にさらなる買いを促すべくアナウンスしてきたものです。

日本の有望企業を買収し、完全にコントロールしたい海外の投資家やファンドにとっては「おいしい買い物」になりますから、株価上昇のための決定的な「一手」です。

『以下は、3月12日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,469円から21,676円へ』

月曜日につけた今年最安値20,937円と、金曜日の高値21,884円までをみると、株価が上昇した印象を受けますが、市場関係者の心理が改善したものではなく、EPSの増大(月曜:1,683円、金曜:1,703円)が主な理由と思います。もっとも、株価は景気に先行しますから、株価が下がる時は既に景気がピークアウトしていることが多く、その後に株価の下落を追うように企業の稼ぐ力EPSが減少し、PERが14~16倍程度の通常範囲に落ち着いていくものです。

今号で最も重要なのは、やはり森友学園問題です。財務省は完全に白旗を挙げた状況ですが、官邸はダメージを最小化して政権を守ろうとしています。しかし、政権が早期に崩壊する可能性も出てきており、有効経済政策も出せない状況では、日経平均が先週月曜日につけた安値を割る恐れもあります。森友学園問題の方向性がある程度明らかになるまでは、買いも売りも手出し無用です。

『以下は、3月19日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,676円から20,617円へ』

佐川氏の証人喚問が行われることになれば、「書き換え」と「虚偽答弁」について、激しい追及を受けることになるでしょうが、そうした官邸からの指示が文書ででてくることはあり得ませんから、立証は極めて困難かと思われます。

私たち投資家にとって大切なのは、こうして財務省が組織としてのダメージ回避を図るとともに、官邸に大きな「貸し」を作ったということです。政権が無事に延命できれば、景気が悪くなっていても「消費再増税」をもって財務省に「借り」を返す必要に迫られます。

すでに大政局に発展しつつある森友事件です。総理逮捕という極端なシナリオまで踏まえ、今週からの国会審議の行方次第では、アベノミクスで嵩上げされた株価、異次元緩和といった景色が、魔法が解けるように姿を変えていく可能性があります。

今回の上昇相場は、その途上でアベノミクス相場と名前がつきました。バブルは弾けてからバブルだったと気づくものですから、2000年のITバブルしかり、2007年の小泉郵政バブルしかり、その途上で名前が付くことはありませんでした。終焉を待たずして、アベノミクス相場と云われているのは、それほどあからさまな政策だったからと言えるでしょう。そのような相場が自然体に戻る時に、どれほど大きな波となって市場を飲み込むのか、興味深いところです。


『以下は、3月26日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,617円から21,454円へ』

トランプ政権が保護主義政策をさらに強化し、完全な対中強硬策に踏み切ったことで、米中貿易戦争の懸念が世界に広がり、アメリカ株式市場も大暴落に近い下げとなりました。

日本にとっての衝撃はこれだけではありません。アメリカの同盟国は、輸入制限を猶予あるいは除外するとされていましたが、同盟国の中から日本だけが抜け落ちたのです。つい先日までトランプ政権が敵視しかけていた韓国ですら、輸入制限から除外されているのに、あろうことか最重要同盟国として特別視されていた(少なくとも日本はそう思っていた)はずの日本が抜け落ちてしまったのです。

保険は最低限の掛け捨てだけで良い

保険販売に携わる方を対象に講演を行いました。

最近のマネー雑誌では、保険に関する記事に随分と変化が出てきています。

少し前までであれば、各社の商品比較や売れ筋・人気商品といったものが目立っていました。
それが、ここに来て「加入すべき保険は掛け捨てだけ」「保険で資産形成はあり得ない」
といった記事が多くなっています。

とくに今のような低金利で、今後物価も金利も上がる可能性が高い時期は、
「保険は最低限の掛け捨てだけ」というのは聡明な方にとっては当たり前のことですが、
日本人の多くが「掛け捨ては勿体ない」と感じています。

知識不足の顧客が希望する「お金が貯まる保険」を販売することは、
顧客が欲しいものを勧める「顧客満足」といえます。

しかし、本当は保険でお金を貯めても実質利回りはマイナスになる蓋然性が高いこと、
保険でお金を貯めるのであれば、保険を掛け捨てにして安くなった掛け金を積み立てた方が
効率的であることをお伝えしました。

似て非なる言葉ですが、それが「顧客主義」だと思っています。

2月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、2月5日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値23,274円から21,382円へ』

多くの市場関係者は、日銀の金融政策の転換(つまり出口戦略)が間もなくやってくるとみています。それが予防的な動きを取り始めるようになれば、為替も金利も大きく動く可能性があり、日経平均も波乱の展開となりかねません。実際に出口戦略へと移行がはっきりすれば、先高感はすっかり吹き飛んでしまうことになると思われます。

2月の中旬以降に政府が日銀の新総裁・副総裁人事を提示し、国会は同意人事の手続きに入ると思われます。日銀人事は大きなイベントですが、安倍総理が秋の総裁選再選を果たせるかどうかも重要なポイントになります。後ほど解説するとおり、安倍総理再選に暗雲が広がってきています。安倍政権の基盤が揺らぐことは、日銀人事や異次元緩和の持続可能性も不透明になるということです。

『以下は、2月12日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,382円から21,720円へ』

アメリカの長期金利以上に気になるのは、やはり日本の長期金利の動向です。先々週、日本の長期金利が上昇した際、日銀は即座に指し値オペを実施して、結果的に長期金利は0.1%を超えることなく落ち着きました。

ただ、金利の上昇を抑えることができたのは、指し値オペが効いたからかどうか定かではありません。アメリカ発の世界同時暴落をみて、日銀が近く出口戦略を取るのは無理だろうとの思惑が働いた可能性もあります。だとすれば、日本の株式市場が落ち着きを取り戻し、日経平均に先高感が復活することも考えられますが、次の金利上昇局面において日銀の指し値オペが成功するかどうかは、はっきりしないということです。

『以下は、2月19日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,720円から21,892円へ』

先々週の世界的な株価の暴落は、アメリカの長期金利が上昇したことが震源とされていますが、もう少し詳しく見ておきましょう。
VIX指数インバースETNというデリバティブ商品(金融派生商品)があります。(恐怖指数の空売りのようなものと理解してください。)ここ数年VIX指数は12~15で推移していましたが、直近の1年ほどは8~9まで下がっていました。VIX指数インバースETNはVIX指数が下がれば利益になるデリバティブ商品で、VIX指数インバースETNに投じられている資金は30兆円とも100兆円とも云われており実態は判りません。

ところが、先々週のアメリカの長期金利の上昇でVIX指数が50まで跳ね上がったため、一気にVIX指数インバースETNの投資家は、多額の含み損を抱えることになりました。具体的には、野村證券の同商品は48,000円前後の値を付けていましたが、VIX指数が跳ね上がったことで価格が算定できなくなり1,150円で強制償還しています。たった3日間で、約97%値下がりしての強制償還です。アメリカの長期金利が上昇する前、このデリバティブ商品に投資されていた額が100兆円だとすれば、それが一気に3兆円まで減ったことになります。日本の国家予算規模のマネーが、一瞬にして吹き飛んだわけです。

このデリバティブ商品に投資をしていた機関投資家は、損失を穴埋めするために、これまでの上昇で含み益を抱えていた保有株を売却せざるを得なくなりました。実際にはアルゴリズム取引(コンピューターによる自動売買)で、機械的に株が売られたわけです。

注意すべきは、今回の長期金利上昇で幾多の矛盾が生じたことです。一番わかり易い例を記しますと、アメリカの長期金利が上昇すればセオリー的にはドル高になりますが、実際にはドル安が進んでいることです。つい先日まで113円台、アメリカの長期金利が上がるまでは108円前後でしたが、先週は一時105円台をつけました。ドル安が正しいのであればアメリカの長期金利は下がるはずですし、アメリカの金利上昇が正しければドル高になるはずで、どちらかが嘘の数字を示した状態になっています。このような矛盾を複数抱えている状態は、どこかで逆バネが働くと想像を超える動きになる可能性があります。

『以下は、2月26日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,892円から21,181円へ』

アベノミクスには黒田日銀の金融政策は不可欠です。文字どおり「異次元」の金融緩和やマイナス金利で、円安・株高を展開してきました。今のところ市場は、黒田氏の続投を金融緩和継続のメッセージと受け取っています。仮にそうであれば、今後も異次元緩和を継続することは、出口戦略をますます難しくするとともに、ソフトランディングできなかった場合の日本経済が、壊滅的なダメージを受ける可能性があることは繰り返し記してきたところです。

そして、日銀が本来目指しているインフレ率2%は一向に達成できていません。景気拡大は、いつの時代も消費が強いことが条件ですが、政府が示す嵩上げされた経済指標よりも実体経済は強くなく、消費は弱い状態が続いています。上場企業は最高益を更新しEPSも増大していますが、内需関連の企業業績は外需関連企業ほど強くないことも前号で指摘しました。ドル高を容認しないトランプ氏の発言もあり、インフレ期待によって進んできた円安は終焉しかけているかに見えます。

アベノミクス始動前に70円台であったドル円は、日銀の異次元緩和によって114円まで昂進しましたが、直近では一時105円台をつけるなど円高に振れています。アベノミクスの始動以降、投機筋は円安=日本株高のセオリーに従い、概ね「円売り・日本株買い」、「円買い・日本株売り」をセットで仕掛けてきました。今回の円高局面で、投機筋の「円売り」ポジションが減っていないことが気になるところです。

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