「保険でお金を貯める」のは止めた方がいい

「生命保険でお金を貯めてはいけない」
「生命保険で資産形成は不可能」

こうした記事を目にすることが増えました。

こちらは、『東洋経済』の記事です。
東洋経済ONLINE版(5月12日)

ドル建ての保険を例に挙げていますが、貯蓄や資産形成を謳って販売されている生命保険は、全て同じことが言えます。
生命保険を使うことによって顧客が負担するコストは、一般的な投資信託と比べても数倍から数十倍です。

投資信託では、販売手数料や信託報酬といった、顧客が負担するコストが開示されています。
「銀行などが、販売手数料が高いものばかり販売している。」として問題視されている投資信託でも、販売手数料が3.5%、信託報酬が1.5%程度です。

一方、生命保険のこうしたコストは開示されていませんが、「売り手に支払われる手数料」だけを見ても、契約後の数年間で契約者が支払った保険料の30%ないし40%程度も「売り手への報酬」として支払われる場合があります。投資信託でいえば信託報酬にあたる、その後のコストについても、驚くような額です。(開示はされていません。)

生命保険を使った資産形成を100m競争に例えれば、30m後ろからスタートし、錘(おもり)を背負って走るのと同じです。
わざわざ高いコストの「生命保険」を使わなくても、同じ運用が「自分自身で」「低コストで」できることに、何れ多くの方が気付くことでしょう。

4月のニュースと日経平均株価

『以下は、4月1日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,205円から21,807円へ』

メイ政権は議会を粘り強く説得しており、明日以降も何度も採決をする予定です。合意案が4回目の採決に付されたり、別の代替案が提示されたりと、時間が許す限り努力は続きます。
しかし、ついに手立てがなくなったなら、政治的な敗北を素直に認めて、「総選挙」や「国民投票」に賭けるしか残されていないことになります。これまでなら、総選挙の実施や国民投票のやり直しは、離脱プロセスを主導してきたメイ首相の政治生命喪失に直結する恐れがあるため、あり得ないだろうと思われてきましたし、メイ首相もそのように明言してきました。

メイ氏はもう続投を視野に入れておらず、完全に捨て身の状況ですから、最後のどんでん返しの可能性はあります。これならばEU側も待つと思われます。先の欧州首脳会議の結論として、合意案が英国議会で可決されない場合は、4月12日に自動的な「合意なき離脱」だと、最後通告が突き付けられていますが、イギリスが新しい方向性を示すならば、結論は長期で先送りされることも、一つの逃げ道として残されます。
EU側は4月10日にもう一度欧州首脳会議を開くともされており、この日までにイギリス側が決断をすれば、ある程度の長期で結論を延期するでしょう。合意なき離脱の恐怖は一転して、電撃的な総選挙や、国民投票のやり直しを経て、離脱撤回となる可能性は残っています。先週のメイ首相の捨て身の姿勢により、こうした新しい方向性を開く可能性が、急浮上してきたのが一つの希望です。


.
.
.
.
.
.
.
.
.
『以下は、4月8日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,807円から21,870円へ』

トランプ氏が人事権を行使してFRBに金融緩和への圧力を強めていることが報じられています。
7席あるFRB理事ポストのうち2つが空席となっており、トランプ氏はその一つに保守系の経済評論家、スティーブン・ムーア氏を指名するとも表明しました。ムーア氏は大統領選で大型減税を立案するなどトランプ陣営幹部として働いた人物です。もう1席には、ピザチェーン経営者だったケイン氏で、2012年の大統領選に立候補した経験もある共和党有力者で、現政権の熱心な支持者の一人として知られています。ケイン氏もムーア氏も「FRBの利上げは間違い。」「FRBは利上げで景気を大きく減速させた。」と批判し、「利下げだけでなく量的緩和にも動くべきだ。」と主張しました。

トランプ氏は主要ポストに次々と側近を充てる一方、FRBだけは専門家を配置して独立性に配慮してきました。2020年の大統領選を前に、トランプ氏は0.5%の利下げを要求しており、今回、それを実現すべく自らに近い元実業家と経済評論家の2人を理事に指名したわけです。

FRBは2019年中の利上げを見送る考えをにじませていますが、「2019年、2020年とも1回ずつの利上げを模索する。(フィラデルフィア連銀総裁)」など強気な声も残ります。金融政策を決めるFOMCは、正副議長ら理事7人(現在は5人)と地区連銀総裁のうち5人が投票権を持ち、トランプ氏は自らの主張を反映できる側近を送り込み、金融政策へ介入しようとの目論見でしょう。

過大債務や資産バブルの懸念が残る中、政治の介入が強まり中央銀行の独立性への信認が揺らげば、金融市場に歪みが広がるリスクは否めません。アメリカ経済は失業率が半世紀ぶりの水準まで下がり、株価など資産価格も再び上昇基調にあります。FRBの金融引き締めを完全に封じれば、投資家らが再び過度にリスクをとるようになり、今以上の資産バブルが発生しかねません。ご承知のとおり、トランプ氏は財政政策でも拡張路線を取っており、財政赤字は近く1兆ドルを突破する見通しです。FRBが低金利を維持すれば、財政出動に歯止めが利かなくなる懸念もでてきます。

1960年代のジョンソン政権時に、大統領の利上げ停止の要請を受けて、FRBが1年以上も金融引き締めを見送ったことがあります。インフレ率は4%台へ急伸し、財政赤字も戦後最悪の水準に達してドル不安が台頭し、金本位制を放棄する1971年のニクソン・ショックに繋がった歴史があります。1980年代のレーガン大統領も、インフレ容認派の理事をFRBに次々と送り込み、インフレファイターと云われたボルカー議長を退任に追い込みました。トランプ氏が2020年に再選を果たせば、パウエル氏を交代させ、政権の意向を忠実に反映する側近を充てる可能性が強まったと思われます。

基軸通貨を抱えるアメリカで中銀の独立性への信頼が損なわれれば、世界市場への影響は甚大なものになる筈です。

『以下は、4月15日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,870円から22,200円へ』

日銀の黒田東彦総裁は11日(木)、G20に出席する為に訪れたワシントンで、世界経済について「今年後半に回復し、来年は十分高い成長が見込まれるというのがメインシナリオ」と楽観的な見通しを示しました。
一方、米中通商協議やイギリスのEU離脱の行方など、先行きには不確実性が残るとも指摘しています。また、「保護主義的な動きは米中双方にとってプラスにならない。」と強調し、WTO(世界貿易機関)の下で、自由貿易が世界経済発展に寄与したという認識で、G20各国の努力が必要であり、今回のG20でもそうした議論になるだろうと、今日から始まる日米協議を牽制しました。

3月末から足元にかけ、ドル円はクロス円とともに上昇していますが、世界的な株高などを背景としたリスクオンの円安という側面が強いように思います。
市場がリスクオンに傾いた理由として、
・米中通商協議が合意し、さらに中国の景気対策で世界経済の回復期待。
・アメリカの金利低下で株高と景気回復への期待上昇。
・米中経済指標の一部が改善。
が挙げられますが、これらは持続性があるとは考えにくいものです。

『以下は、4月22日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,200円から22,258円へ』

短期の視点でも見ておきます。
現物株の主役であるファーストリティリング(ユニクロ)とソフトバンクグループに加え、CTAなどの短期筋による日経平均先物への攻勢によって、22,000円を上抜けてきた日経平均。先週は22,201円で引けています。金曜日の110円の上げも、そのうち48円はファーストリティリングの上昇分です。すっかり仕手株化したファーストリティリングですが、そもそも浮動株のほとんどを吸い尽くした主犯は日銀です。今も日銀は前場にTOPIXが下げると、700億円もの買いで買い本尊を側面支援するという国家公認仕手株と化しています。
 ここから先、買いの本尊が買い上げると、売り方が悲鳴を上げながら買い戻しを迫られることになります。ファーストリティリングの浮動株は枯れており、上値は買い方の意向次第で動かせる環境となっており、1年ほど前からメルマガで指摘していたように、「信じられない高値」を示現する可能性が増しています。また、半ばファーストリティリングに支配されている格好の日経平均もの上値も、日経平均連動型の資金を運用する機関投資家などが、指数連動のために機械的な買いを入れる状況が想定され、上値を侮れません。
 
こうした結果、NT倍率は先週も一本調子の上昇を続けています。

上場来高値更新のファーストリティリング、22,000円の節目を抜けたた日経平均、買い方のCTAが「どこまでやるか」、「どこまでやれるか」が焦点となります。今のところ、ジリジリとした動きをしており、まだクライマックス感は出ていませんが、NY市場の急反落などが入らなければ、最後に売り方を焼き尽くす華やかな上昇を見せてクライマックスを迎える相場つきです。

足元のTOPIXを置き去りにしての日経平均およびファーストリティリング、ソフトバンクグループの2社だけで引っ張り上げる相場は単なる仕手株的な仕掛けであり、仕掛けが終われば、少なくとも22,000円以上のところは幻の株価となると考えます。ここまでの上昇が極めて不自然で無理のある上昇であることは、一方通行で新高値を上る足元のNT倍率の推移からも十分に判ります。歪めば歪むほど、その後の反動は大きなものになると思われますが、それが今週なのか、GW後に来るのかは定かではありません。以前から買いは控えるようにお伝えしていますが、売りに優位のある弱気相場の見方は変わっていません。

住宅取得の計画

住まいの購入や建築は、人生における大きなイベントの一つ。
誰もが後悔しないようにしたいものです。

先週の講演では、後悔しないために想定しておくべきことをお伝えしました。
以下は講演内容の一部です。ご参考まで。

・今は、購入する時期ではない。
・今後、不動産は資産にならない可能性が高い。
・将来、住み替えができると思ってはいけない。
・購入や建築をするなら、平均余命+10年くらいは建て替えや大規模修繕の必要がない住まいが条件。
・住まいに使えるお金は、思っているほど多くない。
・「頭金を入れて、できるだけ早い時期に繰り上げ返済する」というのは、デフレと低金利が続く前提で変動金利でローンを組んだ場合の話。

顧客本位では儲からない金融機関

2019/4/24付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44111460T20C19A4EA1000/

証券会社は、営業体制の是正を金融庁から求められています。
問題となる営業体制の一つは、顧客に次々新しい金融商品を勧める「回転売買」。「回転売買」とは、顧客が保有する金融資産の入れ替えを頻繁に勧めことであり、その目的は販売のたびに手に入る手数料に他なりません。

こうした「回転売買」は、長期の投資成績を損ない、顧客本位でない姿勢として金融庁は監視を強化していますが、営業体制の見直しを迫らた証券会社のほとんどが、減益、または赤字と業績悪化が止まらないという記事です。

もう一つ是正が求められているのは、販売する商品。
この記事では、金融庁が「顧客本位」の営業を求めたことで、毎月分配型投資信託の販売自粛が広がっていることにも触れています。

毎月分配型投信は、『グローバルソブリン』が火付け役となり、ここ数年、人気を集めた投資信託ですが、分配金の受け取りのたびに課税されるため、
投資効率が悪く長期の投資成績を損なうことが、「顧客本位」でないとの理由です。日本人は、「皆と同じである」ことで安心しますが、「皆と同じ」が正しいわけではないことを教えてくれています。

.
.
.
.
.
.
.
.
.

2019/4/24 12:18日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44128200U9A420C1EE9000/?nf=1

三井住友銀行が個人向け金融商品の販売で、行員に課す「ノルマ」を廃止したという記事です。

こうして今、銀行が「ノルマ」廃止に動く理由は、顧客が求めていない金融商品を販売する強引な手法に反発が出ているためです。

金融庁は証券会社だけでなく、銀行に対しても顧客本位を徹底するよう要請していますが、従来のビジネスモデルを転換するのは容易ではないようです。
次々に新しい金融商品を販売する「ノルマ」主義から、顧客の預かり資産の増減や、新規資金の獲得額などで評価するビジネスモデルへと転換しようとしていますが、ある大手銀行では投信の新規販売のノルマを撤廃した結果、顧客資産の残高が減少するといった問題が起きています。販売手数料収入が見込める商品で「ノルマ営業」をしていた頃に比べると、個人向けの営業部門の収益力は落ちているとのことです。

販売手数料が3%を越える投資信託、更にその数倍もの販売手数料が入る生命保険の販売は、銀行にとって貴重な収益源ですから、脱却するのは簡単ではなさそうです。金融機関の営業体制が、どのように変わっていくかは判りませんが、販売手数料の高い、投資信託や生命保険で、資産形成はできないことを理解しておくべきです。

3月のニュースと日経平均株価

『以下は、3月4日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,602円から21,025円へ』

日経平均は薄商いが続く中、21,500円付近の狭い値幅内で推移しています。上値から上値へと買われることも、大きく売り込む動きもありませんでした。
そのような中、日経ダブルインバース買い、日経平均先物売り、日経平均オプションのプット買いと、投資家たちの下落に向けたポジションが膨らんでいます。ダブルインバースは1.8億口と過去最高で、日経平均先物に換算すると2万枚の売りに相当します。これだけ多くのダブルインバース買いは、国内金融機関のヘッジ目的との観測もありますが、需給面では21,500円前後が大きな壁でしたから、下落に向けたポジションが組まれていたと考えられます。

ただ、相場は天邪鬼で、投資家達の警戒感が強まる中で上昇したりするものですが、近年の相場はAIが個人投資家をロスカットさせるまで一方向に動き、多くの投資家が投げたところで急転することがよくあります。2月27日にはライトハイザー氏が、日米協議の開催と例の為替条項にも言及しましたが、日経平均は21,500円を超えてきています。22,000円を目指してくれば、下落期待のポジションは解消され、一旦大きく上昇する局面もあるかもしれません。

Artificial intelligence concept with text AI in binary code matrix on virtual screen and person working with cyber technology and automation

『以下は、3月11日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,025円から21,450円へ』

先週の日経平均は半値戻しという節目の攻防の中、週明け早々に「米中首脳会談」が3月27日に行われる方向で調整中だという好材料が出ました。既に大部分が織り込み済みだったとはいえ、米中協議が好転していくことへの期待で、日経平均はぽんと21,800円台まで上昇しました。
先週はメジャーSQでもありましたから、この勢いで上への波乱が起きれば、日経平均は22.000円をターゲットとして、さらに上に跳ね上がるという展開もあり得なくはないという状況ではありました。しかし、CTA戦略(買いポジションと売りポジションを同時に取る)を採用する外国人に因る先物の買い戻しが日経平均を上げてきたわけです。相変わらず薄商いが続き、現物を買う動き(中長期の資金)は見られず、そうしているうちに、メジャーSQを要因とする思惑が働く前に、世界と日本の経済と景気の動向が上に抜ける展開を許さなくなってきました。
需給面で大きな壁であった21,500円を上抜けましたが、AIが投資家たちのロスカットを誘ったように思われます。薄商いで板が薄い上に、AIが機械的に売買しますから、上げ過ぎや下げ過ぎの局面が頻発しています。

『以下は、3月18日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,450円から21,627円へ』

日本の製造業が一斉に業績予想の下方修正をしています。主要181社の2018年度の経常利益の合計は、昨年11月時点から約1割減で、2兆5000億円も吹き飛んだことになります。減益要因の殆どは中国経済の下振れと考えられ、中国に巣くう根深い問題を考えれば、中国頼りの企業の成長力は鈍り、日銀の異次元緩和からの出口は更に遠のくことになります。そして、異次元緩和の継続は、金融機関の体力を失わせます。

中国の景気低迷は、銀行融資の不良債権化を生むだけではなく、日本経済全体の不況入りをもたらします。マイナス金利政策によって、銀行の調達金利と貸出しの利ザヤは縮小しました。超低金利に苦しむ邦銀は、保有の日本国債を大量に売って(日銀が買って)、利回りが少し高い海外の債券を買うようになりました。
中でも一番人気は、低格付けの会社の発行する債券をまとめたCLO(ローン担保証券)です。利回りが高いので、日本の地銀や雑金融機関がこぞって買い、農林中金などは、CLO市場全体の1割に該当する6兆円も買い占めています。このCLOを組成には、低格付けの社債が組み込まれています。低格付社債を発行する会社の多くは、元本や利息返済脳力に乏しいので、債務を別の社債に借り換えることで凌いでいます。

今のところ、農林中金をはじめとする日本の銀行がCLOを大量に買っているので、借り換えがスムーズに行っていますが、中国から波及した不況によって日本の銀行が不良債権増となれば、その損失を埋めるためにCLOを売る必要に迫られます。

.
日本の銀行が売りに転じれば、CLOの自転車操業が止まることとなり、日本の銀行が保有しているCLOも多額の損失が生まれることになります。
2月4日号のメルマガで、『サブプライムローンを集めて組成した債券のCDO(債務担保証券)を多く保有していたベア・スターンズやリーマン・ブラザーズが、CDOを売却しようとしているうちに市場価格が急落し、あっという間に90%も値下がりしました。それでも売れなかったため、資金繰りに窮して破綻したものです。』と紹介しました。
また、1997年のアジア通貨危機は、山一證券をはじめ多くの銀行、証券、保険会社が破綻する過程で、日本の金融機関がアジアから資金を引き揚げたことが遠因とされています。バブルとされる中国経済の弾け方如何では、日本初の金融危機の可能性もシナリオの一つとして頭に入れておいた方が良いかもしれません。

『以下は、3月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,627円から21,205円へ』

22日(金)のダウ平均は前日比で460ドル下落しています。1月3日の660ドルに次いで今年2番目に大きい下げ幅です。急反落の原因は、欧州、とくにドイツの景気減速に対する懸念をはじめ、アメリカの株式市場がブラックアウト期間(決算発表前5週間から決算発表後2日間は、自社株買いの自粛期間)から売りが先行したことに因ると思われます。

更に、アメリカ債券市場では長期金利が一段と低下し、10年物が3か月物を下回る逆イールドが発生し、投資家のリスクオフに繋がったようです。  
FRBは20日(水)、2019年中の利上げ見送りの見通しを示し、米金利に強い低下圧力がかかり、22日(金)に日欧の金利低下と景気指標の悪化が重なって
米債買いが勢いづいた格好です。長期金利の指標である10年債利回りは一時2.41%台に下げ、約1年3カ月ぶりの水準まで低下。2.46%台で推移した3カ月物を下回りました。逆イールド(長短金利の逆転)は景気減速や株価暴落のシグナルとされていますが、現在のような低金利下においてもそのセオリーどおりとなるのでしょうか。

浮き彫りになる外貨建て保険の問題点

本日の日経新聞が外貨建て保険に関する記事を掲載しています。

記事によると「利回りやリスクの説明が不十分」といった外貨建て保険に関するの苦情が増えており、生命保険協会の調査では、こうした苦情は2017年度に1,888件にのぼり5年前と比べて3倍に増えているとのことです。苦情原因の77%は「販売時の説明が不十分」というもので、具体的には「元本割れリスクについて適切な説明を受けていない」(43%)が最も多いとしています。

金融庁は2018年9月に公表した行政方針で、投資信託などと比べて運用コストや実質的な利回りが分りにくいことを指摘していました。保険商品をつくる生命保険会社と、外貨建て保険を販売する生命保険会社や銀行は、金融庁に問題を指摘されてから1年以上経って、ようやく見直しに動き始めました。昨年11月に金融庁幹部が大手生保を呼び出し「我々の問題意識がうまく伝わっていないのか」と見直しを強く迫ったことで、ようやく重い腰を上げた格好です。

背景には、マイナス金利政策があります。本来、保険の役割は保障を提供することにありますが、近年、高い保険料(掛け金)の契約を獲得するために、貯蓄性保険の販売が目立っていました。しかし、マイナス金利政策によって、生保各社は円建ての貯蓄性保険を次々に販売停止してきました。そのような中、生保各社や売り手にとって、為替変動を考慮しなければ高めの利回りをアピールできる外貨建て保険は、貴重な稼ぎ頭だったと云えます。生命保険会社と売り手の双方に顧客に説明する責任感が欠けていたところへ、外貨建て保険が収益源として浮上したことが、多くの苦情に至った原因だと思われます。

記事には更に興味深い話があり、これこそが問題の本質です。
.
.
以下、記事より抜粋
『銀行は顧客対応に逃げ腰だった。2月初旬、金融庁の「怒り」を受けて契約済みの顧客に説明する体制をつくろうとしたが、その実施主体を売り手や銀行ではなく生保にする案も議論し始めた。これには生保側が「何のために高い販売手数料を払っているのか」と押し返して銀行が顧客の前面に立つことで決着したが、「販売ありき」の銀行の実態を浮き彫りにした。』抜粋ここまで

金融庁は、投資信託などと比べて運用コストや実質的な利回りが分かりにくいことを指摘していますが、分りやすく表示すれば、保険で貯蓄をすることの合理性の無さが露呈することになります。貯蓄や資産形成の手段として用いられる投資信託と比べ、保険販売で売り手が得る手数料は数倍から数十倍も高くなっており、そのため昨年は、保険の販売手数料が投資信託を上回る銀行が相次いでいます。

賢く生きていくためには、『売り手が得る手数料は、顧客が負担するコストであること』を理解しておかなくてはいけません。

2月のニュースと日経平均株価

『以下は、2月4日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,788円から20,333円へ』

マザーズ市場で創薬ベンチャーのサンバイオ【4592】が、連日のストップ安で株価が一気に半値以下となっています。サンバイオは人気のバイオ銘柄で、今回の暴落で多くの投資家が退場させられました。一方、日経平均は国策指標ですので、国家としての経済力や政策といったマクロの動向が反映されるものです。実際、目先の戻り天井かと思われた1月21日の高値20,892円を超え、株価位置もPER12倍をわずかに上回って推移しています。

日経平均のこうした安定は円安が大きな要因と思われますが、FRBが本当に金融政策を方針転換して金融緩和へと舵を切るようになれば、円安要因が一つ減ることになります。実際、先週は利上げ停止の示唆から、やや円高へと向かい始め1ドル109円を割ってしまいました。これにともなって、日経平均の上昇圧力も削がれてしまったようで、1月31日(木)、2月1日(金)と、高値をつけた後は売りに押されて、20,700円台まで下げています。少なくとも金利政策の方向性だけをみれば、円高が進む素地ができつつあるのは日経平均にとっての不安材料です。
アメリカの経済が強くなっていくことで、相対的にドルが強くなるプロセスは、基本的には好ましいことだといえます。基本的には金利差と経常収支の差が、為替を動かす2大要因とされていますが、相手国が好況で金利が上がったり、相手国の経常収支が改善されることで、自国の通貨が切り下がっていくというのは、健全で好ましいサイクルといえます。日本経済が衰退するのに伴なって通貨が弱くなるのは悪い円安ですが、アメリカ経済が強くなることに伴なって相対的に日本の通貨が弱くなっていくのは、日本経済に長期的な発展をもたらす、良い円安であると言えるわけです。
FRBが利上げ継続の余地を残しつつ、アメリカの経常収支が改善されるのに伴い、良い円安が続くというのであれば、日本市場にも追い風となります。この傾向が2月に入っても続くなら、為替は1ドル110円という適温圏内から大きく乖離することはないと思われますし、日経平均は難所と思われる21,000円ラインにチャレンジすることもできそうです。

『以下は、2月11日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,333円から20,900円へ』

マーケットは時に不思議な力が働くことがあります。誰がマーケットコントローラーなのか、我々には知る由もなく明確に解説することはできませんが、重要なことなので触れておきます。

通常、上昇相場は、押し目を作りながら安値を切り上げていくものですが、ダウは昨年のクリスマス明けから、押し目らしい押し目もなく3,000ドル以上の上昇をしています。FPBが利上げ停止を示唆したり、経済統計が市場予想以上に良かったこともありますが、それでも意外な上昇と云えます。

昨年末からの下落基調のまま、90日間協議の期限を迎えることになると、トランプ大統領誕生前の株価を割り込むことになりかねず、株価を通信簿にし、就任後の株高は自分のお陰とするトランプ氏にとって、許されることではありません。90日間協議の期限を控え、ある程度株価が下がっても20,000ドル近辺を維持できるバッファーが欲しいところでしょう。マーケットコントローラーが誰なのかは判りませんが、そうした力学が働いているように見えるとともに、やはり米中協議は穏やかに幕を引くことはなさそうです。

.
.

『以下は、2月18日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,900円から21,425円へ』

このメルマガでは、何年も前から「2020年代は戦争の時代」、「第3次世界大戦」の可能性について触れてきましたが、最近、世界中が第一次世界大戦に注目し、悲劇を起こした原因が何だったかについて様々な議論をしています。決して、終戦から100周年が理由ではなく、現状が大戦前夜に似ているからです。

第一次世界大戦は、参加した主要国の誰もが何とか回避したいと考えていましたが、自国が不利になるのを恐れるあまり、お互いに相手を牽制する行動をとったため、誰も望まない大衝突に発展したとされます。
オーストリア皇太子がセルビアで暗殺され、これが翌月に世界大戦に発展したわけですが、皇太子の葬儀を営む際にオーストリア皇帝が、ドイツ皇帝とロシア皇帝の双方を招待して、独墺露の三皇帝が一堂に会してさえいれば、大戦争にはならなかったと云われています。しかし、同時に暗殺された皇太子の妻は、ハプスブルグ朝内での身分が低かったため、皇帝は独露の二皇帝を呼びませんでした。また、ドイツ皇帝とロシア皇帝の両名も、戦争をするつもりがないことを示すために、それぞれにバカンスなどに出かけて明確な意志表明を避けてしまいました。
こうして皇帝達が一堂に会する機会を逃し、特段の意志表示をしなかった一方で、それぞれの国の政府と軍は万一を考え、お互いに予防的な措置をとりあったことと、明確な意志を示さない大国の意図を誤解し、複数の小国がやや暴走気味に動いたことで国家間の恐怖が恐怖を呼んで、
あっという間に史上稀なる大きな悲劇を引き起こしたのは世界史で学んだところです。

その報いとして、独墺露の三皇帝は数年の間にすべて滅亡し、帝国解体の憂き目にあいました。今、英独仏伊の指導者らが陥っている状況は、これまた100年前の大戦前夜によく似ているといえます。誰もが合意なき離脱など望んでおらず、経済的な混乱を避けたいと考えていますが、さりとて自国が不利になる形で交渉に応じて、自らの政権を崩壊させるわけにもいきません。
それ故もあって、指導者が一堂に会する形で、問題の解決に取り組む機運は全くみられず、 残り40日あまりとなっているのに合意なき離脱を回避する方策は出ません。この状況が今週以降も続くのであれば、イギリスによる合意なき離脱を懸念して、世界市場が3月危機に陥る可能性は排除されることはないと思われます。

ともあれ、トランプ政権の市場重視への転換で、相場の空気が一変しかけた先週でしたが、こうした危機の火種が燻り続け、
3月危機に発展する可能性があることを日経平均の波乱要因としても注意しておくべきです。

『以下は、2月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,425円から21,602円へ』

日米協議、ブレグジット、中国経済、アメリカ政局など不確定要素が満載の中、良い材料だけに反応して、アメリカの株高が続いています。
「景気が良くて株価が高いのであれば、金利は上がる筈」ですし、「景気が良いかどうかはっきりしないのに金利が上がらないなら、ドルは安くて然り」ですし、「景気が悪いなら金利が下がり、ドルは安くなる」筈です。現在のアメリカの株高は、「アメリカの景気は良い、だけど金利は上がらない、だけどドルは高い。」わけですから、何かが持続不可能という不可思議な状況の中で起こっていることを認識しておく必要があります。

日経平均もアメリカの株高につられて、ふわりふわりと上昇しています。ただし、日経平均の上昇は、売買代金が週を通じて2兆円前後のという薄商いが続く中、昨年末から売り越していた外国人先物筋の買戻しに因るものです。(現物は外国人も売り越しが続いています。)「アメリカの景気は良い、だけど金利は上がらない、だけどドルは高い。」の均衡が崩れた時に、上に跳ねるか下に放れるのか判りませんが、定石どおりであれば出来高をともなって下に放れる可能性が高いと思われます。

先週21日(木)ロイターのリーク記事で、米中協議では6項目の「構造改革」について、具体的な覚書が準備していると報道されたことで、
日経平均も一時的に21,500円台に乗せました。さすがに週末は21,500円で利確の売りに押し返されましたが、大きく崩されそうな雰囲気もみられぬまま引けています。もっとも、売り崩されなかったのは、閑散に売りなしの相場格言のとおりであり、ここから先、上値へと買われていくには、連日3兆円に迫るくらいの売買代金が必要と思われますが、買い方を積極的にするにはやはり材料不足です。

貯蓄保険から積立投資へ

CFP試験に合格された方々への講義で金沢に行ってきました。CFPとは国内最高位のFP資格です。https://www.jafp.or.jp/aim/cfp/cfptoha/
講義で話した内容の一部を紹介します。

今般の統計不正問題で、給与所得者の実質所得のマイナスが白日の下に晒されました。
労働所得だけでは、今の生活レベルを維持することも難しくなってきています。


そのような中、毎月何万円もの掛け金を払って、保険で貯蓄している人が非常に多いのが現状です。
また、iDeCoや積立NIISAは少しずつ普及しているようですが、それでも多くの人が元本保証のファンドを選択しています。
賃金と同様に、『元本保証のファンドでの積立投資』や『保険を使った貯蓄』が、物価上昇に劣る蓋然性が高いことは、まだまだ認識されていないようです。

保険で貯蓄するのを止め、その分の保険料を積立期間やリスク性向を鑑み、積立投資に誘うことが、FPの役割の一つだと思っています。

1月のニュースと日経平均株価

『以下は、1月14日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,359円から20,666円へ』

円高の進行などもあって、日本企業の稼ぐ力の見通しは非常に暗くなってきています。日経平均はPER11.7倍まで上昇していますが、これは円高の進行などで日本企業の稼ぐ力の見通しが暗くなり、EPSが1,740円前後まで急激に目減りしてきたためです。年末年始の急落は、日経平均のEPSが目減りするのを予め市場が織り込んだ、という見方がやはり正しいのかもしれません。
現下の混乱と混迷がやがて一段落すれば、日経平均はPER12倍を下限としたレンジに移行するかもしれません。ただし、日本企業の稼ぐ力については、為替動向と日米協議(TAG/FTA)次第ですから、まったく未知数と云えます。強烈な円高が進み、アメリカから黒字減らしを強要されれば、EPSの目減りはこの程度で済まなくなるでしょう。安倍政権が夏以降も存続するか否かも、今後の日経平均にとって極めて重要な要因ですが、北方領土交渉の妥結によって、参院選、あるいは衆参ダブル選を勝ち抜くという現在の選挙戦略もどうなるかは判らない状況です。買うにしても、売るにしても、世界も国内も不透明な状況ですから、当面は大きな値動きがなく膠着状態が続きそうです。

『以下は、1月21日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,666円から20,773円へ』

各国で政治主導の努力が、どうにか世界市場の下落を止めてはいます。アメリカの景気後退懸念に対しても、FRBによる金融政策の転換などで、「年内の景気後退はない」といった火消しのためのアナウンスが出され、これがアメリカ市場を底支えしていますが、相場心理が強気へと回復するには力足らずといった状況です。本当にFRBが緩和へと転じれば、少なくとも日本市場にとっては円高が押し寄せることになります。円高は日本企業の稼ぐ力を削ぎ、EPSをさらに減じさせるでしょうから、為替が円高方面に動き始めたら、先々の数値を織り込む形で日経平均は再び下ブレする恐れがあります。

薄商いの中でアルゴリズム取引の買いが入ったことに因り、日経平均はPER12倍まで戻しましたが、それを安値下限とする相場のコンセンサスが形成されているわけではなく、依然として不安の種は尽きていないことを念頭に置いておいた方が良さそうです。

『以下は、1月28日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,773円から20,788円へ』

世界情勢は依然、緊迫した状態が続いています。相場の先行きは予断を許しません。そのような中、先週は良い材料も悪い材料も出ず、日本の株式市場は様子見となりました。東証一部の売買代金は2兆円を割る日が続いています。民主党政権時にも売買代金が2兆円を割ることはありましたが、その時期の日経平均は1万円前後でしたから、当時と比べて商いは半分以下になっていると云えます。
以前から指摘しているように、ファーストリテイリングの浮動株が少なくなっており、日銀が日経平均ETFを買い入れ続けることはできないため、日経平均の買い入れを減らし、TOPIXの買い入れを増やすのではないかとの観測が広がっていました。そのため、「日経平均売り、TOPIX買い」が進んでいましたが、先週の金融政策決定会合にて「現状維持」が報じられるや、日経平均に買戻しが入ったものです。結局はPER12倍付近に張り付いて、狭い値幅の中を行ったり来たりしました。

【閑話休題】
大きな話題となったソフトバンクのIPOは、初日の終値が公募価格の15%安となり個人投資家の阿鼻叫喚がこだましました。これに因るソフトバンクグループの資金調達額は、2兆6000億円と過去最大のIPOです。これほどまでの大型上場であるが故に、ファンドなどは指数に連動させるために買わざるを得ません。現在1,400円台まで戻しているのは、代表的な指数であるMSCIやFTSEの機械的な買いが原因だと思われます。
そして、今月30日にはTOPIXへの組み入れが行われるため、その買いが入ります。公募価格の1,500円まで戻せるかどうかは判りませんが、今月末の株価が一旦の天井となりそうです。

12月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、12月3日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,351円から21,678円へ』

アメリカは中国への追加関税を猶予することを決め、交渉決裂を一先ず回避しました。ただし、完全解決ではなく、中国の知的財産保護などで引き続き妥結点を探ることになります。
アメリカは既に2500億ドル分の中国製品に制裁関税を課していますが、2千億ドル分は年末商戦が終わる2019年1月以降に、関税率を10%から25%に引き上げる予定でした。今回の会談で、トランプ政権は1月以降の関税引き上げを猶予するとし、関税合戦の激化をひとまず回避したものの、90日以内に合意できなければ、アメリカは2千億ドル分の中国製品の関税率を10%から25%に引き上げるとしています。また、発動猶予は中国の構造改革が条件で、5つの分野で引き続き協議し90日以内の合意を目指します。

米中が対立していたハイテク分野の政策見直しは、協議の対象から除外されています。トランプ氏は、中国の先端産業育成策「中国製造2025」を強く批判していましたが、産業補助金の撤廃など、これまでの要求を声明に盛り込むことを避けました。中国の国家資本主義の柱である産業補助金の見直しを、習政権が「認めない」と強く反発しており、同分野では中国側の要望が通ったと見られています。アメリカにとっての本丸は、対中貿易赤字の縮小ではなく、国家のマネーで資本市場を荒し世界の覇権を取ろうとする中国を封じ込めることですから、この点におけるアメリカの譲歩は不自然に思われるところですが、今回、アメリカの狙いの一つは、中国との間で何らかの協議体を常設して、構造改革の要求を永続させることです。

これは中国が恐れていた「日米構造改革協議」と同じです。
一時はアメリカのGDPの6割にまで達して、21世紀にアメリカを抜き去るとされていた日本は、為替要求で円高を強制され(プラザ合意)、構造改革協議で持てる強みを除去され、全く成長しない停滞国家に転落させられました。今、中国のGDPはアメリカの6割に達しており、あと10年程度でアメリカを抜き去って世界1位の座を占めるとされていますが、30年前の日本がされたのと同じことを、今、中国が強要されているわけです。

アメリカとトランプ氏にとっては、中国への強硬姿勢が非常に重要な政局上の切り札でもあります。次の大統領選に勝利するには、支持率浮揚の有力なカードでもありますから、米中対決は当然に維持されるものと思われます。だからこそ、中国市場の戻りはイマイチですし、そうなることが目に見えているからこそ、中国政府も下手に出ているのでしょう。今回の米中首脳会談を受けて年内は株高を維持できたとしても、トランプ政権が突如強硬化する可能性は、充分にあるものと思われます。何れにせよ、アメリカの中国への要求は甘いものではなく、決裂の可能性がつきまとう「3ヵ月の休戦」です。
 
日米TAG(FTA)の枠組でも同じです。安倍政権は防衛費の対GDP比率を1%から1.3%へと引き上げるという決断によって、新鋭戦闘機の導入費用分だけで2兆円近くの現金をアメリカに渡し、トランプ氏に花を持たせていますが、これからが彼にとっての正念場である時に、「脅せば必ずカネを出す」存在であり、支持率浮揚にも役立つ日本に対して、次の要求を控えることを期待するのは、無理があると言えるでしょう。つまり、米中首脳会談で世界経済が一時的に凪となり、日本と中国の株価が上昇したとしても、期限付きの小休止であることを認識しておくべきです。

『以下は、12月10日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,678円から21,374円へ』

3日(月)のアメリカ国債市場では、2年債と5年債、3年債と5年債の利回り格差(スプレッド)がマイナスとなりました。通常、先々に経済発展の見通しがあり、かつ、債権者が長期にリスクをとる以上、短期よりも長期金利のほうが高くなります。しかし、景気後退が予測される場合などは、短期金利を下回って長期のものが低下して、この長短金利差が逆転することがあります。それが逆イールドカーブの状態です。

長短金利の逆転は10年ぶりのことで、前回発生した10年前というのは、サブプライム・ローン問題、つまりリーマン危機の直前のことです。
逆イールドは景気減速を予兆する最も頼りになる前触れの1つと考えられていますから、翌4日のアメリカ株式市場が2ヶ月ぶりの大幅安となったのも無理はありません。この逆イールドが、2年債と10年債、3年債と10年債に飛び火するかが注目されるところです。

グラフ挿入

赤線が10年債利回りから2年債利回りを引いたもので、これがマイナスを示す時期が逆イールドです。なお、縦の網掛けは不況期を示しており、青線がアメリカ株の前年比の上下動を表しています。過去40年の間に逆イールドは4回あり、その後は必ず不景気に突入しているのが判ります。そして、不況時には株価は必ず大きく下げており、例外なく逆イールド→不況入り→株価大幅下落の流れがあるのです。

11月26日号の【5、米国債売りポジションの縮小】で、投機筋の株買い債権売りポジションが急速に縮小していると記しましたが、更に株売り長期債権買いに進んだことが主因と考えられます。少し前には10年債が3.27%まで上昇し 、世界株安の引き金となったばかりですが、長期金利が上がっても下がっても株安を招くという状況です。アメリカの長期金利は上下どちらに行っても、アメリカ株と為替の両方の経路を通じて日経平均に大きな影響を与えるものですし、資本主義の仕組みにおいて金利(債券)は背骨です。10年債も2年債に近接していることから、アメリカ国債の動向には引き続き注視しておく必要があります。

『以下は、12月17日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,374円から20,166円へ』

日経平均はPER12倍付近で週をまたぎ、世界経済の不安で下ブレの警戒感が強まっています。アベノミクスで行われてきた資本市場改革、労働資本市場改革の成果で、日本企業の「稼ぐ力」は格段に向上しており、日経平均EPSは1,790円近辺と史上最高レベルです。一方で、異次元緩和と財政出動の双方をやっても、一般労働者の実質賃金は増えていません。少なくとも日本企業は年間数百兆円の規模で、継続して内部留保を拡大できるくらいには、家計から企業への所得移転が成されました。また、「2%の物価上昇」という目標達成は失敗しているものの、少なくとも本来個人が受け取るべきカネが企業に集まっているため、株高政策としては成功だったことが示されているといえます。古くからの読者であれば、アベノミクス始動当時から、『一般国民を貧しくさせ、大企業と資本家のための政策』と解説してきたのを覚えておられると思います。

安倍政権は、来年以降も存続して様々な「策」を出し続けることを模索しているようです。しかし、一通りの「策」は出し尽くしたとみられ、今後、安倍政権のやることは賭けの要素も濃いと思われます。世界経済が突発的な材料で荒れたり、安倍政権の頓挫や挫折が見込まれたりする場合は、日経平均は底を抜いて大きく割り込む形で崩落する危険が常に付きまといます。情勢があまりにも流動的であるため、PER12倍より上に行くか下に行くかは、流動的で突発性を高める外部要因や先行きのやや不透明な国内の政治状況に大きく左右される状況です。また、来年にはかなり大きな混乱や混迷が、年明け早々から予想されるところですので、そうしたことが材料視されてくるにつれて、相場はまた流動的になっていくでしょう。

『以下は、12月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,166円から20,014円へ』

先週末の日経平均は2万円ラインで跳ね返しましたが、その後の先物ナイトセッションは、19,790円で引けています。チャートも、3度目の「下放れの並び黒」を作りました。(酒田五法で云う「下放れの並び黒」とは、大暴落の前兆となることがあるローソク足の並びです。)直近の2回は、日銀、年金の必死の買い支えもあり反発を見せましたが、防衛ラインと見られていた21,000円を下抜けたように見えます。

東京証券取引所が20日に発表した投資部門別売買動向によると、12月第2週(10~14日)の外国人投資家の売り越しは1613億円でした。
これで2018年の外国人投資家の売り越し額は5兆円を超え、1987年のブラックマンデー(7.1兆円の売り越し)以来の規模となり、2008年のリーマン・ショック(3.7兆円)を上回りました。外国人投資家は、アベノミクス始動時から日本株を積極的に買い、2015年には累計買越額が20兆円に達しましたが、以降は売り越しに転じ、買い越し額は10兆円弱まで半減しています。また、2018年の個人投資家は925億円の売り越しです。この外国人投資家と個人投資家の日本株売りを日銀、年金、ゆうちょ、自社株買い(買い越し額2.5兆円)で買い支えてきたのはご承知のとおりです。

今年の日本株の買い越し売り越し額を纏めると、以下のようになります。

・外国人投資家  ▲5兆円
・IPO    ▲3兆円
・日本銀行    6.5兆円
・事業法人   2.5兆円(自社株買い)
・投資信託    1.1兆円(インデックスやアクティブファンドは、上がる下がるに関係なく指数に連動させるために買わざるを得ない)

12月までは日銀と自社株買いと投信で10兆円を超える買い越しが、外国人による巨額の売りを吸収して、まだお釣りがありました。2013年(アベノミクス始動)から、大勢の投資家が資産を数倍に殖やしたとおり、世界の中でも日本株市場は有望でした。日銀の買いだけで、年間6兆円もの買い入れが計算できますから、買いが買いを呼んで資金が流入してきたわけです。ここに来て、日銀、年金、ゆうちょでは買い支えできない程の外国人の売り越しが起こっているのは、日銀が株買いを止める前に全て売り切りたいという思惑かもしれません。

12月にはECB(欧州中央銀行)も量的緩和をストップしました。中国も経常黒字がゼロになり、世界への投機資金の供給は止まりそうです。
日銀だけが量的緩和を止めておらず、世界の動きに逆行していますが、日本株を買うのは、儲かった企業による自社株買い位しかありません。
景気が後退局面に入ったのであれば、頼りの自社株買いも未知数となります。

次のページ »