『以下は、5月6日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,258円から21,344円へ』
消費増税延期(中止)という改元早々に出そうな大策について、かなりの期待が芽生え、株価にも織り込まれてきていると思われます。実際、統一地方選の結果を受けて、かなり解散風が強まってきています。
さらに日銀の黒田総裁も大きく方針を転換し、異次元緩和を2020年の春以降も継続する方針であると明言しました。昨年秋からの米中対決の激化や、英欧関係をはじめとする欧州情勢の大混乱、また日本を含む主要国の景気サイクルなどで、出口戦略の条件は全く整っわず、逆に昨年末から今年初にかけての暴落劇で、日本を含む世界経済全体が動揺しかけたこともあり、日銀は「必要あれば追加緩和」と何度も明言して、出口と逆の方向性も示唆してきました。今回、ついに「無期限の異次元緩和」という、異例のフォワードガイダンスを行うことで、出口戦略の模索を事実上放棄したことは、株式市場にとって大きなインパクトがあります。
ただし、これまでの状況を冷静に考えてみれば、日本政府と日銀の両者が全く同時に、増税延期(停止)や無期限の異次元緩和という、政策転換に言及せざるを得ないほど、日本経済が危機の瀬戸際にあることも事実です。
実際、不安の種はいくつもあり、その一つは日米間の為替条項です。訪米中の麻生財務相との会談で、ムニューチン財務長官が日本に対して、為替条項を求めると表明したため、これを受けて株も為替も少し動揺しました。以前から繰り返しお伝えしているとおり、日米間で為替条項が導入されれば、日銀の異次元緩和が批判の的となり、機動的な金融政策が制限されるのは必至です。
異次元緩和にアメリカから「待った」がかかれば、アベノミクスはその時点で強制終了となり、日経平均は大きく巻き戻すと思われます。
『以下は、5月13日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,344円から21,250円へ』
アベノミクスが始動してからのドル円相場の動きは、「円売りポジションが8~12万枚程度まで積みあがると、巻き戻しの円買い・ドル売りが始まり、ドル円相場が反転する。」という傾向が続いています。今回もこの見方が生きているようであれば、4月末に10万枚近くまで積みあがった円売り建玉の巻き戻しが始まっているのかもしれません。アベノミクス当初ほどの連動性はなくなっているものの(当初は完全連動だった。)、海外投資家の「円売り・日本株買い」のセット売買とその解消の影響で、投機筋建玉の飽和からの為替市場の反転と、株式市場の動きの連動性は現在も維持されています。つまり、年初からの株式市場の戻りも、そろそろ反転の時期に来ているのかもしれません。
『以下は、5月20日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,250円から21,117円へ』
GW明けから6日連続で下げた日経平均は、米中対立膠着の間隙をぬって戻りに転じたように思われます。しかし、17日(金)前場終了後の昼休みに、中国の国営メディアが、「現在のような関税引き上げの脅しの下で、米協議再開に関心がない。」と報じたことが伝わり、その日の高値から150円ほど引き戻されて先週を終えました。戻りの日柄は始まったばかりで、本来であれば、少なくともあと数日は戻れる日柄が残されているところですが、この報道による頭抑えは、今後の戻り相場の困難さを感じさせます。
また、GW明けの下落からの反転は、下げで売り込んできた海外勢の先物の買い戻しが主因ですから、「戻りたいのに戻れない」という歪んだ日柄(逆日柄)で予想外の急落が起こる可能性もあります。
『以下は、5月27日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,117円から20,601円へ』
先週の日経平均は、PER12倍よりも下で推移しています。とくに金曜日は、強い抵抗ラインとして意識されている20,900円を試しましたが、再び切り返して21,000円台で引けています。トランプ氏の「ファーウェイ問題を貿易交渉の取引材料に使う。」という発言を、マーケットは「交渉次第では輸出規制を緩める可能性がある。」と解釈したようです。上に放れるのであれば、20,900円を守っている間に、5月20日の高値21,430円を越えておきたいところですが、再三、抵抗ラインとして試されてきた20,900円を明確に下抜ければ、一気に売りが加速する可能性が高く、今週も引き続き20,900円の攻防を見守ることになりそうです。
引き続き、買いでのエントリーは控えたいところですが、次項で解説する前提を維持できたとすれば、PER11倍を下回ったあたりが短期の買場となるのかもしれません。