4月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、4月2日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,311円から21,550円へ』

世界経済はリーマン・ショック後の大不況後に拡大を続けてきました。その期間はすでに10年になろうとしています。経済が拡大すると企業の業績が上向きます。株価が長期的に企業の利益によって動くことはほとんど間違いありませんから、経済の拡大は企業利益の増大をもたらし、株価が上昇するという流れが続いた10年と言えます。10年の世界景気拡大は、歴史的に見ても最長レベルです。

しかし、この流れが停滞する可能性が高まってきています。「米中貿易戦争」です。保護貿易が世界経済を収縮させることは、前号で解説しましたとおりです。トランプ氏は、中国からの輸入関税を引き上げることを宣言しましたが、中国からのアメリカへの輸出の大半は機械類であり、最大品目が携帯電話・端末、つまりスマートフォンです。これらは中国企業がアメリカへ売り付けているわけではなく、アップルをはじめとするアメリカ企業が中国の工場で生産されたものを逆輸入しています。

スマートフォンなどの製品の関税を引き上げると、困るのはアメリカの消費者です。価格が上がり、これまで経済をけん引してきた消費は鈍るでしょう。最大の消費国である米国の需要減少は世界的にも甚大な影響があります。中国の生産も鈍化を余儀なくされるでしょう。そうなると、ここから起きることはこれまでの10年の逆回転です。消費が鈍ると在庫が増えるため生産が減少し、生産が減少すると労働者の賃金も減少します。すると消費はさらに減少し、負のスパイラルに陥る可能性があります。

景気循環としてみれば、米中貿易戦争はその引き金にすぎません。景気は自然に循環するものであり、行きすぎた株価はどこかで必ず調整が入ります。問題は、それがいつになるかということだけです。本格的な貿易戦争に突入すれば、世界経済が収縮することはまず間違いありませんが、景気循環の転換点となるかどうかを見極めていくことが重要です。


.
.
.
.
.
.
.
.

『以下は、4月9日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,550円から21,746円へ』

政府と日銀の間で「永久国債」というアイデアが議論され始めました。
成功すれば異次元緩和からの出口を成功させ、将来の(狭義の)財政破綻の危機を救いますが、成功するかどうか実務的、理論的な検証はされていません。一方、失敗すれば日本経済がほぼ確実に奈落の底に沈むという、賭けに近いようなアイデアです。

すでに日銀の議論は次の段階に移っています。実際、日銀が今慎重に練っているのは、デフレとの戦いではなく、これから発生するインフレをいかにコントロールするかです。
日本におけるデフレ退治としては、1930年代に高橋是清蔵相が実施した「高橋財政」が有名です。「デフレ退治」とはつまり「インフレ促進政策」ですが、そのリスクを重視した高橋蔵相はこれを開始した際、3年で手仕舞いすると明言していました。

しかし、3ヶ月後の2.26事件で高橋蔵相本人が亡くなり、手仕舞いする人がいなくなってしまった上に、財政・金融政策にも軍の意向が野放図に反映されることになりました。結果としてインフレが止まらなくなり、ハイパーインフレへと繋がって政府も国民生活も全て破綻させることになりました。

すでに日本政府の借金は当時のレベルを超えており、いったん初めてしまった異次元緩和という「インフレ促進政策」が、今後独り歩きして日本を破綻に導くことが懸念されているのです。

.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.

『以下は、4月16日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,746円から22,076円へ』

市場関係者は、シリア攻撃が1回限りであれば影響は限定的と受け止めたようです。有事の円買いは今のところ進んでいません。
一方、アメリカ財務省が13日に発表した為替報告書では、日本を引き続き監視対象国に指定しています。大きな貿易不均衡が日米間に存在することへの懸念を示した格好です。これまでと異なるのは、実質実効レートだけでなく名目レートでの円安も指摘され、為替介入も事実上封じ込められました。
このタイミングでのこうしたアメリカの厳しい姿勢は、明日、明後日の日米首脳会談で先鋭化する可能性が考えられます。

物価変動を除いた円の実質実効レートは、2017年から今年2月までの間に2.4%下落し、過去20年の平均値と比べ25%近く円安であるというのが、アメリカ財務省の言い分です。実質実効レートに関する類似の文言は前回、前々回の報告書にもあったが、今回目を引いたのは名目レートに関する記述です。
報告書では、名目レートでみた円相場が「過去10年と比較すると、2013年上期から歴史的な平均値に比べて割安である」と今回初めて指摘しています。
日銀が量的・質的金融緩和政策を導入したのが2013年の4月です。今回の為替報告書を見るかぎり、日銀の金融政策が円安誘導と嫌疑をかけられる可能性があります。(日銀は円安を意図した金融政策ではないと否定していますが、実際は円安誘導の意味もあるはずです。)今号は、今週から始まる安倍外交を中心に解説していますが、金融緩和の出口戦略にも影響する話です。

.
.
.
.
.
.
.
.
.
.

『以下は、4月23日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,076円から22,357円へ』

日本株最大の買い手である日銀のETF買いに変化が出てきました。「午前の株価指数が0.2%超下落すると日銀が機械的に買う。」という経験則が、最近になって崩れてきているのです。
国債市場においては、日銀が国債買い入れを密かに縮小する「ステルス・テーパリング」が意識されていることを解説してきました。このところの日銀による株買いの縮小が「ステルス縮小」ではないかとの思惑が広がりはじめています。

もっとも、「午前で0.2%超下落すると、午後に買い入れする」というのは、日銀が明示したわけではなく経験則に因るものです。日銀は、「購入額基準の内容は公表しない」としています。4月は、先週金曜日までに下落率が0.2%を超えたのは3営業日ありましたが、日銀による買い入れが発動したのは1回のみです。これで12日連続して日銀による買い入れがなく、4月の購入額は約1400億円にとどまっています。
日銀は2016年7月に、ETF購入額を約6兆円/年に増額しました。月平均にすると5,000億円ですが、4月は今日を含めた残る営業日全てで700億円ずつ買わなければ、その額に届かないことになります。

金融緩和の柱である国債買い入れは「ステルス・テーパリング」が始まっており、3月末時点で日銀が保有する長期国債は、前年3月に比べて約49兆円の増加にとどまったことは、前号で解説したとおりです。これを受けて「ETF買いでも縮小が始まったのではないか」といった観測が市場に広がっているわけです。もっとも、いくら日銀が「密かに」縮小をしようとしても、国債のように「ステルス縮小」というわけにはいきません。というのも、日銀の金融政策目標は、イールドカーブコントロールですから、金利さえコントロールできれば国債購入が少なくなっても、緩和縮小ではないと説明ができます。一方、ETFについては、年間約6兆円の買い入れ目標を明示していますので、簡単に縮小することができない事情があります。

実際、ETFの購入額を減らすには、2%の物価上昇目標を達成するか、物価上昇目標の引き下げのどちらかが必要になる筈です。だとすれば、4月の購入額が少なくなった分、今後どこかで大量の買いが発動する可能性もあります。

中央銀行による株買いはこれまで前例がありませんし、株買いが物価上昇とどう関係するのかも説明がなされていません。
これまでの累計買い入れ額は19兆円を越え、日本株全体の4%程度まで膨らんでいます。多くの企業において、日銀が筆頭株主になっているだけでなく、買いばかりで市場に放出する株はないため、流動性を下げていることが予てから問題視されていました。流動性が小さくなると、小さな資金でも株価が乱高下することになるためです。
日銀は今や日本株の最大の買い手です。このまま買い続けることが出来ないことは、誰の目から見ても明白ですが、巨大な投資家の買いがいつ縮小されるのか関心が集まっているところです。

 2月21日、元日銀審議委員で慶應義塾大教授の白井さゆり氏は、ロイターのインタビューに応じ、黒田東彦総裁の続投を軸とした日銀の新体制においても、安倍晋三政権の下では金融政策の正常化に踏み出すことは困難と語った。都内の日銀本店近くで2014年1月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)