住まいを負の資産にしないために vol.4

前回は、これから積極財政に向かう可能性について解説しました。積極財政はインフレを伴う政策です。今回は、これから積極財政によって起こるであろうインフレについてポイントを押さえておきます。

バブル崩壊後の日本は、長く低金利政策のもとでデフレが続きました。現在50歳以下の方は、働き始めてからほとんどの期間が、デフレだったことになります。まず、賢く生きるための考え方は、デフレ下とインフレ下では全く違うことを頭において読み進んでください。

インフレとは、ものの値段が上がること、すなわち貨幣価値が下がることです。例えば100万円の自動車があったとします。1万円札が100枚あれば、その自動車を買うことができます。その自動車が、インフレによって102万円になったとすると、1万円札を102枚払わなければ買うことができません。同じ自動車を買うのに1万円札を多く払わなくてはいけなくなります。つまり、インフレによって貨幣価値が下がるということです。

インフレは貨幣を大量に発行したり、貨幣の流通量が急激に増えたときに起こります。仮に貨幣の流通量が2倍になったとしましょう。単純にいえば、貨幣の流通量が2倍になると物の値段も2倍(インフレ)になります。貨幣の量が2倍になっても物の数は変わりませんから、貨幣の流通量が増えた分だけ相対的に物の値段が上昇するからです。そして、皆さんが勤めている会社が販売している商品やサービスも、2倍の値段で売れるようになるため、インフレが起こると給与も増えていきます。(給与の上昇はインフレより遅れます)これも単純に言うと、物の値段が2倍になると給与も2倍になるということです。

例えば、年収500万円の人が3000万円の住宅ローンを借りたとします。ローンは年収の6年分ということになります。仮に急激なインフレが起こり、年収が1000万円になったとすると、住宅ローンの3000万円は年収の3年分になります。さらにインフレが進行して、年収が1500万円になったとすれば、住宅ローンは年収の2年分となります。このように、インフレが起こると住宅ローンの額は変わりませんが、借金の価値が減っていくのです。これが借金を抱えている人にとっては、インフレが望ましいと言われる理由です。

投資用不動産ローンの残高が増加しているのも、将来インフレになることを見越してあえてローンを組む人が増えているからです。日本の政府債務(借金)を解消するために、貨幣を大量に発行してインフレになるであろうことを見越して策を講じている訳です。

ここで注意が必要なのは、インフレが起こると金利も上がるということです。先ほどと同じ、100万円の自動車の例で説明します。(判りやすくするために、細部に拘らず簡略化しています)100万円持っていれば、この自動車を買うことが出来ます。

今は自動車の購入を見送ることとし、使わない100万円を1年間銀行に預けておくことにしました。1年後、自動車は2%のインフレによって102万円になり、預けた預金は1,000円(0.1%)しか利息が付かなかったとすると、自動車は102万円になっているのに対してお金は100万1,000円ですから、今なら買うことができる自動車が1年後は買えなくなります。

このようにインフレ率 > 預金金利の状態だと、実質はお金が減っているのと同じです。すると銀行に預金する人が居なくなりますから、預金金利はインフレ率相応の金利になる訳です。そして、銀行は預金金利よりも高い金利で、企業や個人に貸し出すことによって収益を上げていますから、インフレになると住宅ローンの金利も上がることになります。

借金がある人にとってインフレは望ましいと言えども、インフレによって返済中の金利も上がってしまっては意味がありません。これからインフレが起こると考えれば、住宅ローンは固定金利を前提に検討するのが望ましいと思います。

今(2017年6月時点)であれば、長期固定金利の住宅ローンでも1%そこそこの金利です。インフレ率が2%としても、インフレ率 > 住宅ローン金利というローンが組めることになります。

このブログの『住まいを負の資産にしないために Vo.1』で、今後、不動産は資産にならないことをお伝えしました。
もしも、インフレ率 < 住宅ローン金利になると、プラスの資産どころかマイナスの資産、すなわち家計を貧しくする買い物になってしまう恐れもあります。