住まいを負の資産にしないために vol.2

前回は、これから住まいを購入・建築する方が、理解しておくべきことについて触れました。
再度、要点を整理しておきます。

1、人口の減少に伴って、土地(不動産)は資産価値が目減りする。
2、空き家率も増加するため、住み替えが困難になる。
3、これから住まいを購入・建築する方は、生涯住むことが大前提。

仮に30代半ばで住まいを購入・建築したとすると、最低でも50年間は住み続けることを考えなければなりません。その間に建て替えが必要になると家計が圧迫されますから、住まいや工務店・ハウスメーカーを選ぶ一番のポイントは、長持ちする家かどうかだとお伝えしました。

今回は、『住まいに使えるお金は、思っているほど多くない』というお話しです。

家計を豊かにする方法は、
・手取り収入を増やすこと
・支出を減らすこと
・資産(お金を生むもの)を保有すること
この3つしかありません。

手取り収入を増やすには、所得控除などが出来るものは忘れずに申告すること、専業主婦の奥様が働きに出るといった方法などが考えられます。しかしながら、これには限度があります。

また、支出を減らすといっても、節約一辺倒では息が詰まってしまいます。普段よほど無駄遣いしている人は別ですが、多くの人にとっては節約による効果よりもストレスの方が大きいのが実情です。

残る3つ目の方法、お金を生んでくれる資産を保有することに最も力を注ぐべきです。

これから購入する不動産は、資産ではない(お金を生んでくれない)ことが理解できれば、住まいに極力お金を使わないことを考えるべきです。家にお金を掛けすぎて、資産を保有する余力が無いとなると、家計を豊かにすることは限りなく難しくなります。

家にお金を掛けすぎて、日々の生活が厳しいなんてことは、もっての外です。

住まいを購入・建築してから定年退職を迎えるまでの間、貯蓄が横ばいで増えないようでは、退職後はかなり厳しい生活を覚悟しなければなりません。貯蓄が減っていくようでは尚更です。定年までの間、少しずつでも貯蓄が増える家計を目指すべきです。

そこで、これ以上の住宅ローンを借りてしまうと、定年まで貯蓄を増やすことができなくなってしまう。云わば『借りても大丈夫な住宅ローンの上限』について紹介します。

※住宅購入や住まい建築のご相談に来られた方、560名の分析結果をデータ化したものです。地域性や各ご家庭の生活レベルに差がありますので、あくまで目安としてお使いください。


※実例が無い、または8件未満の場合は数値を記載していません。

この表は、税込みの世帯年収と子どものお人数・進路を元に、税込み年収の何%までなら住まいに使って良いかを示したものです。

よく、住宅ローンの返済額が年収の何%までなら大丈夫。といった話がありますが、同じ25%でも年収が400万円のご家庭と年収が1,000万円のご家庭を同じ%で考えるのは無理があると思っています。また、子どもの養育費や教育費もたくさんお金が掛かりますから、お子さんが一人のご家庭と二人のご家庭を、同じ物差しで測ることはできないと考えます。

「今(これから)は、子どもにお金が掛かるので、毎月の負担をできるだけ減らしたい。」子育て世代のご家庭の多くが、このように言われます。

毎月の返済額を少なくするには、返済期間を長くするしかありません。返済期間を長くすると、利息の負担(返済総額)は大きくなります。また、安定収入があって子供にお金が掛かる時期よりも、定年後に年金生活になってローンが残っている方が、よほど厳しい状況です。

借りても良い住宅ローンの上限を計算するうえでは、定年までに完済することを前提として下さい。
住まいの購入や建築後、定年までの年数が30年であれば返済期間は30年。定年まで20年であれば、返済期間も20年となります。

それでは、具体的に例をあげて計算してみます。

【前提条件】
・定年まで25年
・これから定年までの税込み平均世帯年収800万円
・子ども2人で、大学まで国公立(自宅通学)
注)これから定年までの税込み平均世帯収入は、毎年の昇給などを鑑みて算出して下さい。

これらの前提を表に当てはめると、24%となっているのが確認できます。

800万円 × 24% = 192万円が、1年間で住まいに使える金額ということです。住まいに使える金額には、固定資産税の他、マンションであれば修繕積立金や管理費も含みます。

ここでは、戸建てとして固定資産税12万円/年で計算すると、192万円 - 12万円 = 180万円が住宅ローンの年間返済額の上限となります。
この金額に、返済期間すなわち定年までの年数を掛けた金額、180万円 × 25年 = 4,500万円が住宅ローンの総返済額です。

この総返済額4,500万円は、元金の返済と利息を合わせた金額ですから、借りても大丈夫な住宅ローンの金額を計算するには、利息分を差し引く必要があります。

この表は、1,000万円を借りた場合の総返済額と、その総返済額を元の1,000万円に掛け戻すための係数を一覧にしています。

返済期間25年、金利1.5%で1,000万円を借りた場合の総返済額は11,998,049円。そして、11,998,049円に0.83を掛けると元の借入額1,000万円になることを示しています。

つまり、総返済額が4,500万円、返済期間25年、金利1.5%の場合、住宅ローンの当初借入額は4,500万円 × 0.83 = 3,735万円です。これ以上の住宅ローンを借りると、定年まで貯蓄を増やすことが出来ないという目安にして下さい。

是非、ご自身に当てはめて計算してみてください。借りても良い住宅ローンの額は、思ったよりも少ないと感じるのではないでしょうか。