10月の「日経平均株価振り返り」と「主なニュース」

『以下は、10月1日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値24,120円から23,783円へ』

最高値24,286円を記録した後は目標達成という空気が広がり、日経平均は利確の売りで値を下げました。この3週間の22,000円からの大反転はクレディスイスによる先物を使った仕掛けであると解説してきましたが、ある水準を目標として仕掛け的な動きがあった際の典型的な値動きとも云えます。
日米交渉で悪い材料が出なかったのは、安倍政権にとっても日経平均にとっても朗報でした。新聞紙上では日本側が譲歩した部分や、影響を受ける業界の悲鳴が紹介されますが、今回、合意されたのは、TAG(物品貿易協定)の協議開始です。確かに譲歩を強いられてはいます。「TAGは対象物品を制限しているので、FTAではない」と総理は強調しますが、この説明は無理があります。もし、FTAの協議をやる場合でも、アメリカ側に興味と実利のない分野は早い段階で交渉内容から落とされてTAGのような形になったでしょう。
また、これから始まるTAGが一定の形で議論の終結をみた後には、他の貿易や投資についても再び交渉されることも合意されました。一気に包括的なFTAをやるのではなく、徐々にTAGを積み重ねていくという、過程と時間軸の違いともいえ、交渉における日本側のリスクはあまり変わらないものと思われます。

『以下は、10月8日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値23,783円から22,694円へ』

短期筋が先物を使って力尽くで買い上げ、9月末には「配当落ち」⇒「前場で配当落ちによる株価下落のため日銀が買い出動」⇒「ファンド等が指数連動させるために配当分を先物で買い」という需給要因が拍車をかけ、一気に24,000円を越えてきたものです。年初来高値を更新した達成感から、短期筋が利食いに廻り値を下げています。PERでみた節目やキリのいい株価という心理的節目は、ターゲットになり易く、とくにPERは、投下資金を何年で回収できるかという、投資家にとって最も基本的で合理的と考えられている基準ですので、PERをターゲットとした売買が入ることは自然と云えます。

先週後半からの下落局面では、24,000円が殆ど支持線とならずにあっさり割ってしまったのは、今回の上昇が短期筋の仕掛けと一時的な需給要因であったことを物語っています。もっとも、これが直近の値動きの理由ですが、ファンダメンタル面でも嫌な雰囲気が出てきています。先週のアメリカ雇用統計は好調を維持していますが、それが長期金利に上昇圧力をかけることで、株式市場は波乱含みになってきます。また、アメリカの金利上昇と貿易戦争でアジア市場は下落基調となっており、これも日経平均の足を引っ張っています。
アメリカの財政赤字は海外資金で賄っており、アメリカ国債を国外で消化するためには高い金利が条件です。アメリカが中国に仕掛ける貿易戦争で、中国の真の対抗策は報復関税ではなくアメリカ国債の売却であることは、以前に詳しく解説しましたが、ここに来て「中国によるアメリカ国債の大量売却」という、物騒な話も取り沙汰されています。とりわけ長期金利の動向は要注意です。アメリカ経済とアメリカ株が好調すぎることと、中国をはじめ新興国をめぐる思惑がアメリカの長期金利を急上昇させていることは、世界市場全体の波乱要因と成り得ます。先週3日(水)以降、アメリカの長期金利は一気に3.2%の水準を突破し、これがアメリカ株に下落圧力をもたらしており、その影響が日経平均にも波及しています。また、アメリカの長期金利の上昇は、基本的には円安圧力として作用し、その円安効果によって日経平均に上昇圧力がかかるものですが、先週後半はかなりの円安になったにもかかわらず、日経平均は下落が続いていますから注意を要する局面です。

『以下は、10月15日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,694円から22,532円へ』

日米の二国間協議(TAG, FTA)に、為替条項が加わる懸念が急浮上しています。アメリカ財務長官らの為替条項への要求が、実際に協議の議題に加わるのかどうかは未だ何とも言えないところですが、アメリカが円安に歯止めをかけたいことは間違いないでしょう。本当に為替条項が発動され、日本が円安政策を取れないとなれば、異次元緩和を抑制・封印することと同義ですから、アベノミクスは成立しなくなります。
異次元緩和の抑制・封印は、日本の「金利爆弾」という世界規模の危機に繋がる恐れも否定できないため、日米間で充分な協議を尽くしている限り、アメリカ側はそんなこと言ってこないはずですが、同盟国だから安心とか、米中戦争なら日本を大事にするはずなど、大国間の外交はそう甘くないことも事実です。
日米同盟で中国と対抗するといっても、日本からは取れるものを取り、アメリカの国益を確保するというのが、トランプ氏の考えのように思われます。こうした懸念が現実のものとなれば、日経平均株価の水準が下にスライドする恐れがあります。

『以下は、10月22日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値22,532円から21,184円へ』

為替条項や毒薬条項(ポイズンピル)等、アベノミクスを崩壊させるような要求がアメリカからなされる恐れがあります。また、安倍政権自体にも、来年の参院選後の退陣が取り沙汰されています。
今週は、アメリカ、中国、日本という世界1、2、3位の経済大国が、それぞれどういった間合いをとるのか、世界経済を拡大させる方に向かうか、縮小させる方向に圧力をかけるかが見えてくると思います。中国との貿易を拡大させたい日本と、中国を徹底的に追い込みたいアメリカが、世界で最も緊密な軍事同盟を維持しつつ、互いに主張し牽制しあっているという、極めて難しい局面にあります。アメリカ側が日本の主張に納得して、米中対決に手心を加えれば、世界経済は少なくとも横這いにはなりますから、安倍政権の「手」が素直に反映されて日経平均には上昇圧力がかかると思われます。一方、アメリカが日本の主張に同意せず、中国を追い込むだけでなく、日本にも強烈な圧力を掛ければ、日経平均はまた下ブレするでしょう。