2019/4/24付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44111460T20C19A4EA1000/
証券会社は、営業体制の是正を金融庁から求められています。
問題となる営業体制の一つは、顧客に次々新しい金融商品を勧める「回転売買」。「回転売買」とは、顧客が保有する金融資産の入れ替えを頻繁に勧めことであり、その目的は販売のたびに手に入る手数料に他なりません。
こうした「回転売買」は、長期の投資成績を損ない、顧客本位でない姿勢として金融庁は監視を強化していますが、営業体制の見直しを迫らた証券会社のほとんどが、減益、または赤字と業績悪化が止まらないという記事です。
もう一つ是正が求められているのは、販売する商品。
この記事では、金融庁が「顧客本位」の営業を求めたことで、毎月分配型投資信託の販売自粛が広がっていることにも触れています。
毎月分配型投信は、『グローバルソブリン』が火付け役となり、ここ数年、人気を集めた投資信託ですが、分配金の受け取りのたびに課税されるため、
投資効率が悪く長期の投資成績を損なうことが、「顧客本位」でないとの理由です。日本人は、「皆と同じである」ことで安心しますが、「皆と同じ」が正しいわけではないことを教えてくれています。
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2019/4/24 12:18日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44128200U9A420C1EE9000/?nf=1
三井住友銀行が個人向け金融商品の販売で、行員に課す「ノルマ」を廃止したという記事です。
こうして今、銀行が「ノルマ」廃止に動く理由は、顧客が求めていない金融商品を販売する強引な手法に反発が出ているためです。
金融庁は証券会社だけでなく、銀行に対しても顧客本位を徹底するよう要請していますが、従来のビジネスモデルを転換するのは容易ではないようです。
次々に新しい金融商品を販売する「ノルマ」主義から、顧客の預かり資産の増減や、新規資金の獲得額などで評価するビジネスモデルへと転換しようとしていますが、ある大手銀行では投信の新規販売のノルマを撤廃した結果、顧客資産の残高が減少するといった問題が起きています。販売手数料収入が見込める商品で「ノルマ営業」をしていた頃に比べると、個人向けの営業部門の収益力は落ちているとのことです。
販売手数料が3%を越える投資信託、更にその数倍もの販売手数料が入る生命保険の販売は、銀行にとって貴重な収益源ですから、脱却するのは簡単ではなさそうです。金融機関の営業体制が、どのように変わっていくかは判りませんが、販売手数料の高い、投資信託や生命保険で、資産形成はできないことを理解しておくべきです。