『以下は、2月4日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,788円から20,333円へ』
マザーズ市場で創薬ベンチャーのサンバイオ【4592】が、連日のストップ安で株価が一気に半値以下となっています。サンバイオは人気のバイオ銘柄で、今回の暴落で多くの投資家が退場させられました。一方、日経平均は国策指標ですので、国家としての経済力や政策といったマクロの動向が反映されるものです。実際、目先の戻り天井かと思われた1月21日の高値20,892円を超え、株価位置もPER12倍をわずかに上回って推移しています。
日経平均のこうした安定は円安が大きな要因と思われますが、FRBが本当に金融政策を方針転換して金融緩和へと舵を切るようになれば、円安要因が一つ減ることになります。実際、先週は利上げ停止の示唆から、やや円高へと向かい始め1ドル109円を割ってしまいました。これにともなって、日経平均の上昇圧力も削がれてしまったようで、1月31日(木)、2月1日(金)と、高値をつけた後は売りに押されて、20,700円台まで下げています。少なくとも金利政策の方向性だけをみれば、円高が進む素地ができつつあるのは日経平均にとっての不安材料です。
アメリカの経済が強くなっていくことで、相対的にドルが強くなるプロセスは、基本的には好ましいことだといえます。基本的には金利差と経常収支の差が、為替を動かす2大要因とされていますが、相手国が好況で金利が上がったり、相手国の経常収支が改善されることで、自国の通貨が切り下がっていくというのは、健全で好ましいサイクルといえます。日本経済が衰退するのに伴なって通貨が弱くなるのは悪い円安ですが、アメリカ経済が強くなることに伴なって相対的に日本の通貨が弱くなっていくのは、日本経済に長期的な発展をもたらす、良い円安であると言えるわけです。
FRBが利上げ継続の余地を残しつつ、アメリカの経常収支が改善されるのに伴い、良い円安が続くというのであれば、日本市場にも追い風となります。この傾向が2月に入っても続くなら、為替は1ドル110円という適温圏内から大きく乖離することはないと思われますし、日経平均は難所と思われる21,000円ラインにチャレンジすることもできそうです。
『以下は、2月11日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,333円から20,900円へ』
マーケットは時に不思議な力が働くことがあります。誰がマーケットコントローラーなのか、我々には知る由もなく明確に解説することはできませんが、重要なことなので触れておきます。
通常、上昇相場は、押し目を作りながら安値を切り上げていくものですが、ダウは昨年のクリスマス明けから、押し目らしい押し目もなく3,000ドル以上の上昇をしています。FPBが利上げ停止を示唆したり、経済統計が市場予想以上に良かったこともありますが、それでも意外な上昇と云えます。
昨年末からの下落基調のまま、90日間協議の期限を迎えることになると、トランプ大統領誕生前の株価を割り込むことになりかねず、株価を通信簿にし、就任後の株高は自分のお陰とするトランプ氏にとって、許されることではありません。90日間協議の期限を控え、ある程度株価が下がっても20,000ドル近辺を維持できるバッファーが欲しいところでしょう。マーケットコントローラーが誰なのかは判りませんが、そうした力学が働いているように見えるとともに、やはり米中協議は穏やかに幕を引くことはなさそうです。
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『以下は、2月18日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値20,900円から21,425円へ』
このメルマガでは、何年も前から「2020年代は戦争の時代」、「第3次世界大戦」の可能性について触れてきましたが、最近、世界中が第一次世界大戦に注目し、悲劇を起こした原因が何だったかについて様々な議論をしています。決して、終戦から100周年が理由ではなく、現状が大戦前夜に似ているからです。
第一次世界大戦は、参加した主要国の誰もが何とか回避したいと考えていましたが、自国が不利になるのを恐れるあまり、お互いに相手を牽制する行動をとったため、誰も望まない大衝突に発展したとされます。
オーストリア皇太子がセルビアで暗殺され、これが翌月に世界大戦に発展したわけですが、皇太子の葬儀を営む際にオーストリア皇帝が、ドイツ皇帝とロシア皇帝の双方を招待して、独墺露の三皇帝が一堂に会してさえいれば、大戦争にはならなかったと云われています。しかし、同時に暗殺された皇太子の妻は、ハプスブルグ朝内での身分が低かったため、皇帝は独露の二皇帝を呼びませんでした。また、ドイツ皇帝とロシア皇帝の両名も、戦争をするつもりがないことを示すために、それぞれにバカンスなどに出かけて明確な意志表明を避けてしまいました。
こうして皇帝達が一堂に会する機会を逃し、特段の意志表示をしなかった一方で、それぞれの国の政府と軍は万一を考え、お互いに予防的な措置をとりあったことと、明確な意志を示さない大国の意図を誤解し、複数の小国がやや暴走気味に動いたことで国家間の恐怖が恐怖を呼んで、
あっという間に史上稀なる大きな悲劇を引き起こしたのは世界史で学んだところです。
その報いとして、独墺露の三皇帝は数年の間にすべて滅亡し、帝国解体の憂き目にあいました。今、英独仏伊の指導者らが陥っている状況は、これまた100年前の大戦前夜によく似ているといえます。誰もが合意なき離脱など望んでおらず、経済的な混乱を避けたいと考えていますが、さりとて自国が不利になる形で交渉に応じて、自らの政権を崩壊させるわけにもいきません。
それ故もあって、指導者が一堂に会する形で、問題の解決に取り組む機運は全くみられず、 残り40日あまりとなっているのに合意なき離脱を回避する方策は出ません。この状況が今週以降も続くのであれば、イギリスによる合意なき離脱を懸念して、世界市場が3月危機に陥る可能性は排除されることはないと思われます。
ともあれ、トランプ政権の市場重視への転換で、相場の空気が一変しかけた先週でしたが、こうした危機の火種が燻り続け、
3月危機に発展する可能性があることを日経平均の波乱要因としても注意しておくべきです。
『以下は、2月25日配信の有料メルマガから一部抜粋。
この週の日経平均株価は、前週の終値21,425円から21,602円へ』
日米協議、ブレグジット、中国経済、アメリカ政局など不確定要素が満載の中、良い材料だけに反応して、アメリカの株高が続いています。
「景気が良くて株価が高いのであれば、金利は上がる筈」ですし、「景気が良いかどうかはっきりしないのに金利が上がらないなら、ドルは安くて然り」ですし、「景気が悪いなら金利が下がり、ドルは安くなる」筈です。現在のアメリカの株高は、「アメリカの景気は良い、だけど金利は上がらない、だけどドルは高い。」わけですから、何かが持続不可能という不可思議な状況の中で起こっていることを認識しておく必要があります。
日経平均もアメリカの株高につられて、ふわりふわりと上昇しています。ただし、日経平均の上昇は、売買代金が週を通じて2兆円前後のという薄商いが続く中、昨年末から売り越していた外国人先物筋の買戻しに因るものです。(現物は外国人も売り越しが続いています。)「アメリカの景気は良い、だけど金利は上がらない、だけどドルは高い。」の均衡が崩れた時に、上に跳ねるか下に放れるのか判りませんが、定石どおりであれば出来高をともなって下に放れる可能性が高いと思われます。
先週21日(木)ロイターのリーク記事で、米中協議では6項目の「構造改革」について、具体的な覚書が準備していると報道されたことで、
日経平均も一時的に21,500円台に乗せました。さすがに週末は21,500円で利確の売りに押し返されましたが、大きく崩されそうな雰囲気もみられぬまま引けています。もっとも、売り崩されなかったのは、閑散に売りなしの相場格言のとおりであり、ここから先、上値へと買われていくには、連日3兆円に迫るくらいの売買代金が必要と思われますが、買い方を積極的にするにはやはり材料不足です。